小児科 すこやかアレルギークリニック

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負荷間隔
2017年11月22日 更新

負荷間隔と言われても、「何っ?」って思われるかもしれません。

食物負荷試験の際に、初回の量を食べて、時間をあけて2回目食べさせる時の時間間隔を指します。

以前は、15分というのが主流だったと思うのですが、それが20分、30分と延びて、専門病院でも60分としているところさえあります。いろいろと試行錯誤することは、いいことだと思っています。

なぜ間隔をあけるのか?。例えば、食べて40分後に症状が出る人に負荷試験をしたとします。15分間隔だと、初回ではなく、2回目を食べて症状が出てしまいます。初回は少量のことが多いので、2回目の増えた量を更に上乗せするため、強めに症状が出てしまうということです。

1回食べて、十分に観察してから2回目を食べさせるというのは、いいことだろうと思っています。

今回の学会で、ある大病院が食べさせたい量の1/4を初回に食べさせ、60分後に残りの3/4を食べさせるという方法を報告していました。こういうやり方は、もちろん「あり」でしょう。

では、当院で取り入れるか?。しばらくは,現状のやり方でいこうと思っています。当院の場合、基本は20分ですが、ゆっくり食べるお子さんも多く、30分とかそれ以上かかることもあるようです。

いろいろな考えがあっていいと思っています。当院では、何でも負荷しています。ピーナッツはもちろん、カシューナッツやソバ、ヤマイモなどアナフィラキシーを起こしたりする食材であっても、負荷試験により解除できるケースは少なくないので、何でもトライしています。

以前も書きましたが、牛乳は厄介なアレルゲンだったりします。重症者は治りづらいです。初めて牛乳の負荷試験をする場合や、あとソバも強いアレルギー症状を呈する場合があります。

先の病院のやり方だと、牛乳をトータルで2ml負荷したい時、最初に1/4としても0.5mlいってしまいます。ソバも10gいこうとすると、初回で2.5g食べさせることになります。

これはあくまで例えですが、重症者では牛乳0.5ml、ソバ2.5gでは強い症状をきたし得る量です。私なら、怖くてそんなに与えられません。

当院では、重症な症状を想定した場合、牛乳なら0.1ml以下、ソバなら1センチから始めることが多いです。負荷間隔も大切ですが、初回量を誤れば、最初に食べさせた時点でアナフィラキシーをきたすこともあり得るということです。

食物アレルギーは、軽症で放っておいても治るような人もいれば、命を落としたり、後遺症を残すような不幸な事例もあります。負荷試験や免疫療法も、十分慎重に行うということのみが共通点であって、負荷試験の方法論も一律のやり方では、例外的なケースではとんでもないことを起こし得ます。

当院のやり方がベストとも思いませんが、これまで以上に慎重に、しかし確実に微量でも食べさせていく方法を模索していきたいと考えています。