真面目に診療中です。
インフルエンザがパラパラ出てきました。ネットニュースでは東京が流行に入ったようなことが書いてありましたし、今年は早いのでしょうか?。
食物負荷試験も地味に(笑)、実施中です。神奈川の専門病院での免疫療法中の後遺症を残した事例が明らかになって以来、食物負荷試験や免疫療法を実施するには縛りが強くなっていくのかもしれません。
ただ、食物負荷試験に関しては保険診療で認められている、しかも外来で実施してもいい検査ですから、「開業医は実施してはいけません」なんて言われても困ります。
逆に、後遺症を残した事例の集計が行われた訳ですから、もし専門施設で多発しているようなら、専門病院のやり方がおかしいんじゃないかと考えるべきです。
少なくとも、患者さんをなるべく危険にさらすことなく、負荷試験を行い、食べられるものを増やしていく所存です。ということで、昨日イクラがクラス3で、ずっと除去している未摂取のお子さんに、イクラを使った負荷試験を行いました。
先日の日本小児アレルギー学会でも、イクラやエビ、イカ、ソバ、ピーナッツ、クルミなど完全除去を指示されやすい食材についても、当院では負荷試験を行っており、その集計結果を発表させていただきました。
イクラがクラス3だと、アレルギー症状が誘発されやすい傾向があることは分かっての負荷試験でした。
それでも何故やるのか?、このご時勢で、とお思いになるかもしれません。イクラは幼児で、食べてアナフィラキシーショックまでいって、意識を失くした子を2、3人みたことがある危険なアレルゲンです。
1粒でも食べられないのか、もう少し食べられるのか、を明らかにすることが重要です。それこそ回転寿司でイクラの粒がつぶれて汁が浸ったご飯などを食べたら、強い症状が出るのかどうかを知る必要があるからです。場合によっては、エピペンを持たせる必要が出てきます。
慎重に負荷試験を進めていきます。そうそう、当院ではイクラ10gを用いています。イメージ的にはイクラのおにぎりの具の2個分くらいでしょうか?。
食べさせていくと、意外と食べられます。ただし、安易に増やしていくと、しっぺ返しをくらってしまうのが負荷試験です。こういう時は、きっと親や医師は「もっと行け、もっと行け」と心の中で叫んでいると思います。しかし、大きな恐怖心と戦っているのは、患者さんなんですよね。
途中で「もう食べたくない」と言ってしまいました。最近の私はここで終了だとしています。限界なのか、それとも気持ちの問題なのかは、症状が出ないと分かりませんが、更に攻めて強い症状を起こさせてしまっては、「何をやってるんだ」となってしまいます。
実は、「今日は止めにしよう」と思った時点で、約5gのイクラを食べていました。つい、「出来過ぎ君です」と言ってしまうのですが、ドラえもんに出てくる、イケメンで優秀な少年の名前が“出来過ぎ君”なのでそう言っています。
もう少し行けば、規定量を食べられたのにとガッカリする向きもあるかもしれませんが、十分がつく程頑張ってくれました。1粒、2粒の誤食でアナフィラキシーを起こさないことが分かったのですから。
園では除去(といっても園では生ものは出ないはず)ですが、家では5g程度なら摂ってもいいということでしょう。
正直、こんなに食べられるとは思っていませんでしたが、やはりいつもの結論です。負荷試験はやってみなけりゃ、分からない!。