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リンデロン
2017年12月09日 更新

「リンデロン」と聞くと、多くの方はステロイド軟膏である「リンデロンVG軟膏」を思い出すと思います。

アトピー性皮膚炎に使われることもあるし、とびひに使用されることもあるでしょう。世の中の医師の多くが処方する薬なので、ステロイド軟膏の中でも認知度の高い薬だと思っています。

実は「リンデロンV軟膏」という薬もあります。リンデロンVG軟膏との違いは、VGの方にゲンタシン(Gはゲンタシンの頭文字)という抗菌薬が配合されており、抗菌薬の有無でそうなっています。

ちなみに、アトピー性皮膚炎には、リンデロンVG軟膏は基本的には使いません。アトピー性皮膚炎の皮膚の炎症を抑えるには、ステロイドだけで十分で、抗菌薬は不要だからです。抗菌薬の乱用に当たります。

ただ、アトピーの皮疹を掻き壊して、細菌感染を合併することがあります。その際は抗菌薬が有効であることもあります。リンデロンVG軟膏を処方する医師も多いと感じています。

しかし、私はその場合でも処方はしません。何故なら、多くの医師が長年気軽に処方するため、耐性菌が増えていると言われているからです。

いずれにしても、適正に使われていないことも多い軟膏だと思っています。

その「リンデロン」というステロイド薬ですが、実は内服薬もあったりします。先日、当院で診ているアトピー性皮膚炎のお子さんが、咳が出るということで近くの小児科開業医を受診されたそうです。

咳止め、痰きりが処方されており、リンデロンという内服薬が処方されていました。

気管支炎と言われていたようですが、その場合、リンデロンは絶対に使わない薬です。多くの小児科医が使うとしたら、「クループ症候群」という呼吸困難を起こし得る危険な病気と診断した時に、更なる悪化を防ぐ時に処方するような“強い薬”です。

クループ症候群ではないようですから、明らかにおかしな処方といえましょう。敢えて言えば、開業医はこんな強い薬でも、何の根拠もなく処方することがあるということです。誰からもとがめられることもないため、この医師は時々処方しているようです。

ちなみに、私の見立てでは、この子はぜんそくを発症してきているようです。であれば、オノンやシングレアといった抗ロイコトリエン薬を使うべきです。これだけで回復が望め、リンデロンという強い薬は不要でしょう。

時々、目に余るような開業医の処方を目にします。誰も間違いを指摘できないため、患者さんが気の毒です。

開業医こそ、基本に忠実な処方をすべきで、そのためには正しく診断するようにすべきです。

診断や治療ができなければ、専門医へ紹介すべきですが、この医師から紹介状を受け取ったことは一度たりともありません。きっと同業ということで、ライバル視されているのだろうと思いますが、私はライバルと思ったことはありません。もっと上を目指していますから。

今後も、残念ながら専門医との連携も何もなく、不適切な処方が延々と繰り返されてしまうことでしょう。