この土日、救急救命の番組が相次ぎました。
土曜の夕方と日曜の夜にやっていましたが、どちらも観ました。開業医が救急をやっているのには驚きました。
その先生は、軽症から中等症の救急患者を診る体制が整っておらず、本来重症者を診るはずの大病院に患者さんが集中している現実を目の当たりにし、「じゃあ、そういう病院を作っちゃえ」と思い立ったそうです。
また、東京女子医大や北里大の救急部門にも密着取材されていました。関東は人口も多く、重症な救急患者さんも多いため、出演されていた救急医の先生方には、頭が下がる思いです。
夏に「コードブルー」というドクターヘリのドラマをやっていました。ドラマですから、一瞬のミスが命を奪うような超重症な事態が繰り返し起こるのですが、ドラマさながらの日常が放送されていました。
判断ミスで、患者さん側から訴訟を起こされてしまうような危険な毎日なんて、多くの医師が送りたくないはずだと思っています。「患者さんの命を救いたい」という熱い思いが画面を通じて伝わってきました。こういうドクターは尊敬に値すると思っています。
今回のタイトルのように、救急救命の医師はハイリスク・ハイリターンの言葉通り、さぞかし多くの給料をもらっているのだろうとお思いかもしれませんが、そうではないと思います。田舎の開業医の方が多分、何倍ももらっていると思います。
現実的に救急医は、1日に何十人と患者さんを診られる訳でもないでしょうし、開業医の方が頭数を多く診られます。日本の保険診療は、とにかく多く診れば、診断が間違っていようが多くもらえるシステムになっています。
質の異なる仕事ですから、単純に比べられるものでもないのでしょうが、救急医の方が訴訟のリスクやストレスが多く、夜もろくに眠れないなんて状況でしょうが、給料が安いのだろうと思います。だから、なり手が少ないという現実もあろうかと思っています。
開業医も、すべての患者さんに責任を持ち、最短距離で症状を改善させる努力をするのであれば、「ハイリスク」となり得ますし、それ相当の報酬は必要だろうと思っています。
現実的には、多くの開業医がリスクを背負うことを嫌い、食物アレルギーの診療に不可欠な「食物負荷試験」を行っていません。アトピー性皮膚炎もかなりしつこい湿疹があるため、それをやっつけるためには、適切なステロイド軟膏を選択し、良くするだけの塗り方を指導しなくてはなりませんが、キンダベートなどの効かない薬を処方するのみです。
多くの開業医がリスクを嫌い、専門医に紹介することなく、自分の都合のいいように患者さんを誘導しているだけだと思っています。つまり、「ローリスク・ハイリターン」を狙っていると言われても反論できないはずです。
この週末、救急救命の番組を観て、エネルギーをもらいました。私ももう若くなく、疲れがたまり気味ですが、また今日から頑張ろうと思っています。