今年の6月に日本小児アレルギー学会から鶏卵アレルギー発症予防の提言がなされました。
これの元になったのは、成育医療研究センターのプチスタディと言われる研究です。生後4、5か月の時点でアトピー性皮膚炎と診断した患者さんは、卵アレルギーを発症しやすいので、アトピー性皮膚炎の治療を行いつつ、生後6か月から少量の卵を食べさせ続けるというものでした。
結果はご存知の通り、1歳の時点で、少量の卵を食べさせていた方が食べていなかった方に比べて、8割卵アレルギーを予防できたというものでした。
それ以来、当院でもアトピー性皮膚炎を見逃さずに診断し、卵アレルギーに気をつけつつ、早期から少量の卵を食べさせようとしています。プチスタディは世界的に有名な論文に掲載されたので、日本のみならず、世界中の食物アレルギーに関心を持つ医師や研究者は知っていると思われます。
具体的には、アトピー性皮膚炎と診断した時点で、卵の数値が上がっていないか、採血させていただいています。卵の値が陰性なら、自宅で食べさせるようにし、陽性なら生後6か月以降から負荷試験を行い、食べられる量を決めています。
卵アレルギー発症予防は、当院のような開業医であっても、可能であると考えています。いや、早期から対応できるのは開業医だからこそとも言えます。
この辺は研究目的ではなく、患者さんのために行っており、集計した結果をアレルギー関係の学会で発表しようと思いました。卵アレルギー発症予防は、今後は開業医が行っていくべきものだと考えているからです。
学会によっては、倫理委員会を通さなければ、発表させないとなっています。大きな病院には倫理委員会がありますが、開業医にはありません。地元の医師会にあるなんて日本の第一人者は言いますが、全国津々浦々、倫理委員会が稼働している医師会なんてほぼないと思います。
食物負荷試験も開業医でも慎重に丁寧にやれば、これくらいできるということを示すためにアレルギー関係の学会で発表してきましたが、今後は発症予防の件についても、難しい時代になっているようです。