医療は、患者さんのためにあるものだと思っています。
医者が、効率や儲けを気にし出した時点で、医師が〈患者さん〉よりも〈自分〉を優先にしているということだと思います。つまり、医療ではなく、医療の真似ごとになりさがっているのだと思っています。
いつも言っているつもりですが、医療には正しい診断と適切な治療が求められます。ぜんそくやアトピー性皮膚炎が正しく診断されず、適切に治療されていないケースがとても多く見受けられます。
でもこれって、アレルギーだけではなく、何にでも欠かせないことだと思っています。
例えば、インフルエンザ。例年は1月に流行しますが、今年は年内なのに結構流行っています。
周囲でインフルエンザAが流行っているというお子さんが受診され、親御さんもインフルエンザを心配されていました。こんな状況では、どの小児科でもインフルエンザを疑って検査をしますよね。
結果は上の通りでした(画像)。
A、B、Cの文字が見えますが、Cの下に太い紫色の縦の線が見えます。ちょっと見づらいのですが、AとBの下にも薄らと線が見えています。この結果に基づくと、インフルエンザはAもBも陽性となります。つまり、インフルエンザにはA型とB型の2種類がありますが、A型とB型に同時にかかったと考えられます。
確かに、地元ではインフルエンザのA型とB型が見られています。本当にA、B同時にかかってしまったのでしょうか?。
私は、富士フィルムのインフルエンザ検査キットを使って、もう一度検査することにしました。その結果が画像の下の方です。
この検査は、テレビCMでもやっていますが、インフルエンザに大きな目印を付けることに成功し、早期発見が可能になったという凄いものです。
医療機関でよく使われているインフルエンザの簡易キットよりも、性能がよく、上のように見える線が薄いと見逃す可能性もありますが、富士フィルムのものは結果が(+)か(-)で示され、しっかりと白黒をつけてくれます。
普通の検査では、インフルエンザのA型とB型に同時にかかったなんて診断されてしまうかもしれませんが、実は検査キットの不良が原因と思われ、実はA型だけだったという結論でした。患者さんの周囲で流行っていたのもA型だけだったので、この結果には合点がいきます。
インフルエンザの検査キットの弱点は、熱が出てまもない時点で検査すると、インフルエンザなんだけれど、陰性と判断されることが多いと言われます。富士フィルムのものだと、通常のものよりも早く検出されるというのも売りのひとつになっています。
これだけ高性能なのに、導入していない開業医が多いのは、きっと検査キットが普通のものよりも少々高いからだと思われます。つまり、通常のキットよりは医院の儲けが減ってしまうという意味です。
日々、真面目に診療していると胸を張って言えますが、感染症にもこだわっているつもりです。こんなところでも、効率や儲けを優先するとろくなことはないということが現れているのだろうと思っています。
