メリークリスマス!。
昨日は、朝早く起き、子ども達を連れて「かいけつゾロリ」の映画を観に出掛けました。
地元にも映画館はあるのですが、この映画は新潟、三条でしか上映していないようで、しかも朝8時25分からしかやっていないので、そうせざるを得なかったのです。
帰ってきてから、コストコへ。これも新潟県内にはないため、隣の富山県まで出掛けました。お父さんは北へ、南へ大忙し(汗)。
そんな中、現在アトピー性皮膚炎の一般向けの本を読んでいます。当院は、待合室にガイドラインや一般向けの解説書を置いてあります。
日本の第一人者の書かれた、アトピー性皮膚炎の本もいずれ待合室に置こうと思っていますが、まずは自分で目を通しているのです。
アトピー性皮膚炎については、頻繁に“乳児湿疹”と「誤診」され、過少診断・過小治療が繰り返されていると書いています。世の中の9割以上がそうされているんじゃないかと思うくらい、悲惨な状況です。
仮にアトピーと診断されていたとしても、症状を抑えるだけの十分治療がいっていないことがほとんどです。多くの小児科医、皮膚科医にとって、アトピー性皮膚炎の治療は大きな壁になっているようです。
アトピー性皮膚炎のガイドラインには、重症には強いステロイド、軽症にはそれ程でもないステロイド軟膏を使用するように書かれていますが、どれだけの期間塗り続けるか、詳しくは触れられていません。
いろんな患者さんがいて、一律には書けないからだと思っていますが、ガイドラインに曖昧な部分があるから、多くの医師が曖昧に対応しているという現実があります。ガイドラインは非専門医が参考にすべきものだと思っていますが、これでは非専門医がアトピー治療に関して皆目見当もつかない状況だと思います。この辺もガイドラインの不親切な部分だと思います。
アトピー性皮膚炎の治療は、短期間で症状を一気に良くして、ステロイド軟膏の量を減らしつつ、皮膚の状態を高値安定させるのがポイントです。言うのは簡単ですが、実際に行うのは難しい部分があります。
最近は「プロアクティブ治療」と言って、一気に皮膚症状を改善させて、それでもステロイド軟膏を中止せずに、減らしつつも継続して塗っていく方法が注目されています。確かにいい方法だと思いますが、多くの小児科医、皮膚科医が実践していない方法でもあります。
ほとんどの医師が「できるだけ薄く塗る」、「良くなったら中止する」という素人並みの方法を患者さんに押し付けているだけです。当然、患者さんの症状は安定しませんが、専門医が極めて少ないこともあり、自分にできなければ、専門医に紹介するという当たり前のことがなされずにいます。
アトピー性皮膚炎で困っている患者さんは多いですが、要は無責任な医療が全国各地で繰り広げられていると思っています。世の中、アトピー性皮膚炎を責任を持って診ようと思っている医師はほとんど存在しないのではと感じています。
一般向けの本もそうですが、ガイドラインにも、原因・悪化因子が示されています。
特に2歳未満では、原因・悪化因子は「食物(卵・乳・小麦など)」、「汗」、「乾燥」、「掻破」、「物理化学的刺激」、「ダニ、ほこり、ペットなど」、「細菌・真菌」が挙げられています。最初に「食物」と書いてありますが、原因として一番多いから一番目に挙げられているはずです。
以前は、卵や乳、小麦を患者さんが食べると、場合によっては母が卵や乳、小麦を食べて母乳を与えると、母乳経由で赤ちゃんに少量の卵や乳、小麦が行き、アトピー性皮膚炎が悪化すると言われていました。
今は「経皮感作」といって皮膚から食べ物が入り、食物アレルギーを発症することが分かってきました。食物アレルギーの抗体ができるのは、卵や乳を食べることで、腸から影響を受けるとされてきました。
だから食べないことが推奨されてきたのですが、現在では食物アレルギーは食べた方が有利とされます。以前の考え方が根底から覆された訳です。この図には、「個々の患者について除去対策を行う」と書かれています。最近の流れでは、むやみに除去はしないということになっているはずです。
このようにガイドライン自体が、最近の流れに沿っているとは思わない部分もあり、それを日本の第一人者が改めようとしていないことも問題点として挙げられると思っています。
アトピー性皮膚炎は、非専門医がステロイド軟膏の使用法もよく知らずに好き勝手をやっているというケースが圧倒的に多く、せめて専門医が正しい医療を提供しなければならないのに、専門医でさえも怪しい状況なのだと思います。
ガイドラインも時代の流れに見合っているとは思えず、日本の第一人者によって見直されるべきだと思っていますが、私の知る限りそんな動きもないようです。
私も重症なアトピー性皮膚炎には苦戦しているケースもありますが、キチンと治療することで、痒くてどうしようもない状況はかなり改善させると感じています。
ガイドラインを読んで知識や技術を身につけたというよりも、学会に参加し、日本の第一人者の講演を多く聞いた上で、自分で試行錯誤しながら学んでいるという感じです。
私見ですが、アトピー性皮膚炎のガイドラインは、使いづらいし、他のガイドラインよりも親切ではないという印象を持っています。