明日29日(金)から1月3日(水)まで冬期休診となります。
ということは、今日が今年最後の診療になります。混雑するでしょうが、無事に仕事納めしたいと思っています。
今年は食物アレルギーの予防に踏み込んだ1年だったと思っています。6月に小児アレルギー学会から卵アレルギー発症予防の提言が出ましたが、予防できるものは予防してあげたい一心で取り組んできました。
アトピー性皮膚炎の皮膚から食べ物が入ることで、「経皮感作」を受けて食物アレルギーを発症することが分かってきました。提言でも言っているように、アトピー性皮膚炎を早く見つけて、治療に取り組むことで、経皮感作を起こさせないようにすべきだと思っています。
数年前のことになりますが、某市からいろいろな食べ物がアレルギー検査陽性のため、困り果てて当院を受診した患者さんがいらっしゃいました。この患者さんも、アトピー性皮膚炎があったのに、地元の医者がアトピー性皮膚炎を見逃したため、経皮感作が進行しそのような状態になってしまったようです。
当時は今ほど、経皮感作とアトピー性皮膚炎の関係が強く言われていませんでした。ある時、その患者さんが受診された際に、お母さんが産まれて間もない赤ちゃんを抱えていました。
その赤ちゃんは当院を受診するつもりはなかったようですが、気になりますよね?。アトピー性皮膚炎を思わせる湿疹はないかと。
椅子から立ち上がって、赤ちゃんの頬を触ってみると、ガサガサしています。軽いアトピー性皮膚炎が疑えると直感しました。
残念ながら、兄弟の体質は似やすい、というかアレルギー体質の親から生まれやすいので、この赤ちゃんんもアトピー性皮膚炎があると判断し、治療を開始させていただくことになりました。早期から対応しているので、食物アレルギーを予防できるかもしれないのです。
遠路遥々の受診は申し訳ないと思いつつも、私も皮膚をいい状態で維持することで、食物アレルギーを予防したいと願い、通院していただいていましたが、3、4か月受診の間があき、皮膚の状態が悪化してしまいました。それに伴い、卵や小麦だったと思いますが、いつかのアレルギー採血の項目が一気に悪化してしまいました。
上のお子さんで苦労しており、下のお子さんでは失敗して欲しくなかったのですが、ご両親の油断からこうなってしまったようです。私も正直カチンときてしまいました。親御さんもこうはなりたくなかっただろうし、私も「こうはしなくなかった」のです。
こうなったら食物アレルギーへ一直線かと言えば、皮膚の治療をやり直すと、上がっていたアレルギーの値が下がることも経験しています。そう説明して、ゆるんだ気持ちを引き締め直すように伝えました。
実は、こんなケースは他にもあり、昨日もアトピー性皮膚炎で通院していたのに、勝手に来なくなり、卵を食べたらアレルギー症状が出たという患者さんがおりました。多分、卵アレルギーを発症してしまったと思われます。
この1年の経験で、こう言えると思っています。早期に専門医にかかれば、食物アレルギーは予防できるのではないかと。