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今年の目標
2018年01月15日 更新

週末、若手にアトピー性皮膚炎の治療について話す機会がありました。

少し前にもこの場で書きましたが、アトピー性皮膚炎のガイドラインはある意味、不親切です。何故なら、アトピー性皮膚炎には根本的な治療法はなく、対症療法が中心の対応になります。

それはそれで仕方ないのですが、ステロイド軟膏の選択と塗る期間が触れられていないからです。

実は、そこがアトピー性皮膚炎の治療のキモとも言えるので、肝腎なことが書かれていないことになります。

アトピー性皮膚炎は頻度も高く、多くの皮膚科、小児科医が見ている病気です。ここで、敢えて「見ている」と書きました。医師がやるべきは「診る」ことです。つまり、多くの医者がアトピー性皮膚炎の「診ていない」のだろうと思います。

私の捉えている違いは、「診る」とは正しく診断して、責任を持って治療するということだと考えています。

言うのは簡単ですが、アトピー性皮膚炎の治療はとても難しいです。多分、100%対応できる医師は世の中に1人もいないと思います。かなりの確率で治療できる医師は、ごく一部います。私はそれを目指しているつもりです。

「見ている」という医者は、“乳児湿疹”と誤診したり、効果の期待できない弱い軟膏を延々と処方し続けており、世の中の皮膚科医、小児科医の多くがここに当てはまると思っています。

何故か?。皆、ステロイド軟膏を使いこなせていないからです。

1990年前半は、ステロイド軟膏が社会問題になりました。ステロイド軟膏は必要以上にバッシングされて、多くの患者さんがステロイド軟膏に拒否反応を示すようになったのです。この時、プロであるはずの医師までもがそうなりました。

いまだに多くの医師の中にそれが残っていて、おっかなびっくり処方しているという現状があります。そういう医師から教えられた若手の医師も、これまたおっかなびっくり処方しています。

アトピー性皮膚炎は、極めて治りづらい慢性の病気です。効果の薄い軟膏をおっかなびっくり使っていては、良くなるものも良くならないのは当然ことです。

世の中の9割以上は、こんな感じだと思っています。地域で評判の小児科、名医とうたわれている皮膚科さえも、ことアトピー性皮膚炎に関しては、例外ではありません。

結局、患者さんは当院など専門医のもとに逃げてこられるので、自分が治した気になっているのだろうと思います。そんなこともあって、アトピー性皮膚炎の治療をもっと腕を上げなければならない、それが今年の目標です。