小児科 すこやかアレルギークリニック

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湿疹を甘く見ないで
2018年01月18日 更新

いつもこの場で、「経皮感作」のことを書いています。

皮膚から食べ物が入り、食物アレルギーになるということなのですが、正常の皮膚から入るという訳ではなく、アトピー性皮膚炎の湿疹から入り込んでしまうのです。

「うちの子はアトピー性皮膚炎と診断されていないし」とお思いでしょうが、多くの皮膚科医、小児科医がアトピー性皮膚炎をまともに診ていません。診断すらできないのです。

「うそ?」とお思いかもしれませが、「経皮感作」はアトピー性皮膚炎の軽度なものからでも起こるようです。いま、当院で診ている患者さんのカルテを確認していますが、専門医でさえアトピー性皮膚炎と気づかないような湿疹からも起きているようです。

そのカルテを見る作業を夜な夜な行っているのですが、真面目に通ってくださる患者さんが多いのですが、じきに来なくなっている患者さんも時々見かけます。

アトピー性皮膚炎と診断し、しっかり治療しないと食物アレルギーが悪化してしまいます。そういう視点でアトピーの治療を行うことって、とても重要だと思っています。

確かに市外から受診されている患者さんも多く、忙しいし、近間の医者で済ませたいという気持ちも分からないではありません。しかし、今の新潟県内で私と同じ視点で湿疹の治療を行っている皮膚科医は皆無でしょうし、小児科医もほぼいないと思います。

カルテを確認していて、受診しなくなった患者さんのことを考えると、切なくなります。まず間違いなく、いい加減な治療をされているでしょうから、親は悪気はないにしろ、気づいたら食物アレルギーが悪化しているなんてことは起こり得ます。

一例を示します。昨年の7月、9月、10月とアレルギー採血を行っています。順番は右から左にかけて新しいデータになっています。

下の方の「TARC」という項目はアトピー性皮膚炎の湿疹の状態を示しているとお考えください。最初は7月の時点で1183だったものが、治療の手を抜いてしまい、9月には3705まで悪化しています。

それに伴い、上の方の「卵白」の部分をご覧いただきたいのですが、卵が0だったものが、クラス2まで悪化しているのです。

患者さんには「これはマズいですよ」といい、気を引き締め直し治療を行ったら、「TARC」は885まで低下し、卵白も低下しています。これを見てお分かりのように、皮膚の状態を良くしておくことは、食物アレルギーにも良い影響を及ぼすことが分かります。

アトピー性皮膚炎を診断できないような皮膚科医、小児科医にかかることは危険と言えるのかもしれないというのが、あながちウソではないとご理解できるかと思います。