食物アレルギーの患者さんに対し、毎日のように食物負荷試験を実施しています。
以前は、卵アレルギーな卵焼きやスクランブルエッグなどの卵料理、牛乳アレルギーなら牛乳自体で負荷試験をやり、しかも卵1個、牛乳200mlを目標に負荷試験が行われていました。
負荷量もかなり大雑把で、強いアレルギー症状を呈する患者さんが少なくなかったものと思われます。当院も15年以上前から負荷試験をやっていますが、学会よりも以前から、“いかにアレルギー症状を起こさないか”という課題に取り組んでいたつもりです。
そして、2年前に発刊された食物アレルギーの診療ガイドラインでは、負荷量を3段階に分けて、「少量」、「中等量」、「日常摂取量」に分けられ、いたずらに負荷試験でアナフィラキシーを起こさないように、ようやくなりました。私から言わせれば、「遅いじゃん」となる訳です。
食物アレルギーは極めて重症から、じきに治る軽症までバラエティーに富んでいます。軽症に合わせて負荷試験を行うと、とんでもないことが起こるでしょう。重症に合わせると、食べられるものがなかなか進まないことになります。
しかしながら、食べさせてアナフィラキシーを起こしてしまうと、患者さんはアレルゲンに対し、恐怖心しかなくなります。いかに上手に食べ進めていくかが重要になってきます。
私はガイドラインの「少量」の設定がポイントだと思っています。「少量」とは卵では1個の1/32、牛乳は3ml、小麦はうどん2、3gとされています。
となると、重症と思われる患者さんに対し、その設定量を目標とした負荷試験が行われることになると思います。
正直、この「少量」の設定がどうやって決まったのだろうと思います。当院では、一部ですが、とうていそれくらいの量を食べられないような患者さんも診ています。ですから、自分の判断でもっと少ない量から負荷しています。
昨日も重症な牛乳アレルギーの患者さんに負荷しましたが、0.78ml摂れたことを確認しています。
個人的には、牛乳3mlは少量なんだろうかと思っています。