連日のように負荷試験をやっており、アレルギーで困っている患者さんが新規受診されています。
今年はインフルエンザも流行しており、ただでさえ忙しいのに、頭を切り替えて対応しなければなりません。
最近増えているのが、食物アレルギーに関する診断書の記入の希望ですね。新年度も近いと言えば近いので、当然のことですが。
先日、来られた患者さんはこんなあんばいでした。朝にパンを食べて、昼にホットケーキを食べて、夕方になってじんましんが広がったため、救急外来を受診したそうです。その医師の診断は、小麦アレルギーなのだそうです。
採血をした訳でもなく、日頃の小麦の摂取状況を聞くでもなく、小麦アレルギーなのだそうです。
救急外来は、ある意味、急に出た症状を抑える役目を持っています。しかし、医師たる者、原因を何か突き止めないと、症状を繰り返し、患者さんは救われません。
見切ったのかどうか分かりませんが、親御さんは別の病院でアレルギー採血を受けます。今回は小麦アレルギーを疑っているので、「小麦」と「ω5グリアジン」という小麦アレルギーをより詳しくみる項目を検査してもらったようです。
結果はいずれも陰性。しかし、医師が説明する際に、検査が0であっても小麦アレルギーが否定できる訳ではないと言ったため、親御さんは困ってしまい、当院を受診されたという格好です。
この患者さんに2人の医師が関わっている訳ですが、共通して欠けているのは、正しく診断しようという思いでしょう。分からなければ、専門医に紹介するしかありません。
地域にアレルギー専門医は、私だけです。しかし、彼らから紹介があったことはまずありません。結局、こんなテキトーなことを繰り返すことしかできないんでしょう。
私が食物アレルギーに力を入れているのは、子どもが成長、発達のために少なくとも1日3回「食べる」ことが避けられず、食事に不安を持つことを避けなければいけないからです。
田舎のおとっつぁんの開業医ならまだしも、病院の医師がこんなでは困るのです。結局、普段から小麦を食べているので、普通は小麦アレルギーとは診断できないという、食物アレルギーの“いろは”を分かっていないからこういうことになるのでしょう。
場合によっては、負荷試験をしてちゃんと不安を取り除いてあげる姿勢が、小児科医として必要なのだと思っています。