小児科 すこやかアレルギークリニック

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伝わらなかった
2018年01月29日 更新

昨年春に、某皮膚科開業医さんから紹介状を持って受診された患者さんがいらっしゃいました。

宛先は、残念ながら当院ではなく、総合病院の皮膚科でした。前の皮膚科医は、病院の皮膚科の先生に紹介したかったようですが、患者さんの方で、散々皮膚科にかかって、よくならなかったため、アレルギー専門医にかかりたいと考え、当院を受診されました。

こういう場合、紹介状を開けるのは気が引けますが、赤ちゃんの湿疹が良くならないということでしたので、当院で診ることにいたしました。

紹介状にはこう書いてありました。診断名は乳児湿疹で、皮膚の状態は落ち着いているように見える。親御さんがアトピー性皮膚炎を心配しているが、アトピーとは診断できない。総合病院の皮膚科で診てもらいたいと希望しているので、(仕方なく)紹介している。そんな内容でした。

地元で一番くらいに患者の多い開業の先生ですが、アトピー性皮膚炎を診断できないようです。皮膚は「落ち着いているように見える」と書いてありましたが、どう思われますか?。証拠写真を添付します。(画像)

結局、どうみてもアトピー性皮膚炎であり、しかも結構重症な部類でした。効かないような軟膏が処方されており、私が最も嫌う、改善していないのに同じ薬を処方され続けていました。

残念ながら、この評判の医師もアトピー性皮膚炎を診断できず、治療もできないということのようです。もちろん、こういう患者さんが皮膚から卵が入り、卵アレルギーになることなんて想像もしていないことでしょう。

この先生には、私の方から紹介状の返事を書きました。“乳児湿疹”ではなく、アトピー性皮膚炎であり、過少治療だったこと。添付のビフォーアフターの写真も同封しました。

たまに書いていますが、アトピー性皮膚炎の指標になる「TARC」という採血項目が初診時に3000以上ありましたが、2か月後の再検で500台に低下していることにも触れました。

更に、「経皮感作」を起こし、食物アレルギーを発症してしまうので、早期発見・早期治療が必要であり、今のところ卵などの数値の上昇はないということも書かせていただきました。

敢えて言えば、一般的な皮膚科よりも、アレルギー科の小児科医が圧倒的に丁寧に、先進的に診ていることを知っていただけたはずです。ところが、この先生からその後も紹介は1件もありません。

私がこだわって、より専門的に赤ちゃんの湿疹の診療をしているのが、全く伝わらなかったようです。相変わらず、乳児湿疹といい、効かないような軟膏が処方され、しびれを切らして、患者さんの方が当院へ逃げてくるばかり。

患者さんの皮膚症状の改善、食物アレルギーの予防を望めば、当院へ紹介してくるしかないはずですが、この女医さんは何がしたいのでしょうか?。