平成17年に国は「わが国全人口の約3人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患している」と言っていました。
出典はリウマチ・アレルギー対策委員会報告書によりますが、私も「3人に1人?」って驚いたものです。
ぜんそくは成人では1%、アトピー性皮膚炎が大学生で8.2%、食物アレルギーが成人で1~2%とされていましたので、3割というのは大袈裟なと思われるかもしれませんが、やはり多いのはアレルギー性鼻炎、花粉症です。
それが平成23年に改訂されました。それによると、ぜんそくは幼稚園児で19.9%、13~14歳で8.3%、国民全体で800万人と推定されています。アトピー性皮膚炎も20~30歳代で9%前後、食物アレルギーは成人では不明とされています。
何と言っても花粉症を含むアレルギー性鼻炎は、47.2%なのだそうです。確かに国民の約2人に1人はあアレルギー疾患に罹患していると言えるでしょう。ここまで急速に増加しており、何らかの対策が必要です。
これだけの数値を見せられると、日本は「アレルギー大国」と言えるのだろうと思います。
どうしたらいいのでしょうか?。アレルギーは、慢性の厄介な病気で、治りづらいのが特徴です。子どものアレルギー性鼻炎は8、9割治らないとされており、治療してもその効果が得られにくいと言えます。
ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーは、アレルギー性鼻炎に比べると、頻度は少ないものの、厄介な病気であることには変わりありません。
大人のアレルギーは相当治りづらくなっていますから、子どものアレルギーを早期発見・早期治療することで対応するしかないと思っています。
ただ、壁があります。いつも書いているように多くの小児科医がぜんそく早期の診断ができず、多くの皮膚科医、小児科医がアトピー性皮膚炎を乳児湿疹と診断しています。食物アレルギーは「経皮感作」で起こることも分かってきましたが、アトピー性皮膚炎を見逃されては、食物アレルギーが進行するばかりです。
日本は「アレルギー大国」ですが、敢えて言えば「“誤診”大国」でもあると感じており、早期発見・早期治療を阻んでいるように思います。
我々医師が、危機感を持って応対していくべき病気なんだろうと考えています。