昨日は、食物アレルギーの全国学会でした。
私もこだわっているし、全国レベルで勝負したいと思っているので、発表してきました。もう9年連続になります。
正直、今回は失望した部分も大きいという印象を持ちました。食物アレルギーの診療レベルが停滞しているように感じたからです。
専門病院で“少量”の負荷試験をやった研究結果が発表されていました。以前は、卵アレルギーなら卵焼き1個、ミルクアレルギーなら牛乳200ml、小麦ならうどん100~200gをどうにでも食べさせ、症状が出たなら完全除去を指示される始末でした。
それが、そこまで上を目指さず、“少量”食べさせることにしようと変わりました。患者さんのことを考え、激しい症状を避けようとなったのだと思います。当院は10年も前からやっていることですが…。
その“少量”の設定に問題があるのだと思いますが、専門施設の発表によると、確かに食べられるようになる割合は増えます。しかし、私が注目したのは、アナフィラキシーとアドレナリン(いわばエピペン)使用が結構いるのです。
アナフィラキシーを起こしたり、アドレナリン注射をされれば、子どもは嫌なのは当たり前です。専門病院だからこそ、アナフィラキシーを起こしたり、注射されないような方法を考えるべきだと思っていますが、そういう発想に欠けるように感じました。
ある患者会の代表の方が、少ない量で、美味しく食べられるようにして、患者さんの気持ちにもっと寄り添って欲しいとコメントしていました。食物アレルギーの医療は、まだ医師主導で、患者さんの我慢している部分が大きいように感じました。
ちなみに、当院はもっと少ない量から食べさせていますし、アドレナリン注射も年間0~1人です。そういうと、「うちは重症者が多い」と反論されるでしょうが、先程もいいましたが、なぜもっとアナフィラキシー、アドレナリン注射を減らそうとしないのでしょうか?。
全国で多くの専門病院が同じようなことをしており、多分アドレナリン注射が日々繰り返されています。食物負荷試験をして、誘発症状やアドレナリンなどの治療をゼロにするのが私の目標であり、日本の第一人者もそうすべきだと思っています。
そこに目が向けられていないと分かった、今回の学会でした。ですから、勉強になったというよりは、大きな失望を感じたのです。
私も無事に発表して、帰ってきました。その発表に関しても、失望しました。明日にでも触れようと思っています。
それにしても、土曜の夕方から出掛けて、日曜の夜に帰ってきて、今日から仕事。学会活動は体に堪えます(汗)。