小児科 すこやかアレルギークリニック

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2018年02月21日 更新

18日の日曜は学会発表でした。

学会発表って、準備に時間がかかります。電子カルテかをひとりひとり開き、症状やデータを抽出します。データを吟味し、どうまとめるかを考え、悩みながら発表\用のスライドを作ることになります。

発表当日は、何度発表していても落ち着かないものです。そして、発表が終わるとどっと疲れが出ます(汗)。

インフルエンザの流行も落ち着いてきてはいますが、連日百数十名の診療もせねばならず、学会発表の疲れを引きずったまま、現在に至ります。今度の休みは温泉でも行こうかな?。いやいや、子ども達を連れてスキーに行かなきゃいけない(大汗)。

学会では、鶏卵アレルギー発症予防を検討した内容で発表しました。成育医療研究センターの報告をもとに、一開業医でもそれができるのか検証したという意味合いもあります。

近年、食物アレルギーは「経皮感作」だって言われます。解明し尽くされた訳ではないのですが、食物アレルギーの主な感作の場所は皮膚であろうとされます。

成育医療研究センターの論文では、生後4、5か月の赤ちゃんで、アトピー性皮膚炎だと診断したお子さんをエントリーさせています。アトピー性皮膚炎があると、卵アレルギーを発症しやすいので、アトピー性皮膚炎でなければいけないのです。

ここで補足を。「経皮感作」っていつ起こるのかが抜けていませんか?。当院は調べました。当院でデータでは、生後3か月から3割、5か月から6割以上のアトピー性皮膚炎の患者さんが「経皮感作」を起こします。5か月以降でまとめると、7割の確率で卵アレルギーの可能性が高まります。

卵アレルギーが、次に多い牛乳や小麦よりも圧倒的に多い理由はよく分かりませんが、こういう現実があることを知らないと、発症予防と言われてもピンとこない方は多いと思っています。

重症なアトピー性皮膚炎を扱う専門施設では、ほぼ100%卵の感作が起こるのだそうです。それをアトピー性皮膚炎とキチンと診断し、治療し、更に生後6か月から少量の卵を食べ続けることで、卵アレルギーを減らすことができるというのです。

こういう前置きを教えてもらってから、成育医療研究センターの報告を見てみると、その素晴らしさが際立つと思います。逆に、学会はそれにならって、昨年6月に「鶏卵アレルギー発症予防の提言」を出した訳ですが、経皮感作がいかに高頻度で、しかも乳児期早期から起きていることを前置きとして、触れるべきだったのだろうと思っています。

湿疹を持つ親御さんに「このままだとマズいかも」と思わせる提言をしないと、ただ「出しました」で終わってしまうのではないでしょうか?。