先週末の学会で発表したばかりなので、頭の中がアトピー性皮膚炎のことで埋め尽くされています(汗)。
いつも言っているように、アトピー性皮膚炎の湿疹の部分から「経皮感作」が起こるとされます。「経皮感作」=「食物アレルギー」とは限りません。少量から食べていけば、治る可能性は十分あります。
どういう訳か、卵アレルギーが圧倒的に多く、3大アレルゲンの卵以外、つまり乳と小麦はかなり少ないと感じています。卵アレルギーを抑える努力をすると、牛乳アレルギー、小麦アレルギーも阻止できるのかもしれません。
となると、アトピー性皮膚炎をいかに早く見つけ出し、治療するかが重要と言うことになります。
日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎の診断基準は、「湿疹の存在」と「痒み」、「2か月以上治らないこと」の3つを満たせばよいことになっています。例えば生後1か月で湿疹を見つけ、アトピー性皮膚炎を疑っても、2か月後の生後3か月までは診断できないことになります。
その点はこの前の学会で成育医療研究センターの大矢先生が、日本皮膚科学会の診断基準を用いては対応が遅くなることを指摘されています。痒みのある湿疹がポイントのようです。
それは私も賛成です。私はアトピー性皮膚炎を疑えば、診断基準を満たすまで何も手を出さないということはしていません。「経皮感作」が進んでしまうからです。
痒みを診断のメインに据えることは大事です。ただし、生後1、2か月の赤ちゃんは「ママ、ぼく痒いんだよ」なんて言ってくれません。となると、痒そうにしているかどうかを類推することになります。
ちなみに「痒みはありますか?」と質問すると親御さんから否定されることが多いです。「顔に手が行きますか?」と聞き直すと「あぁ、そういえば…」となることも多いです。まだ十分手が利かない月齢ですから。ただ、生後1か月でポリポリ掻く子っています。
当院での観察では、湿疹があるのに痒みを確認できなかった赤ちゃんがいます。その後、慢性の経過をたどり、アトピー性皮膚炎であろうと考えていますし、のちに卵が「経皮感作」を受けていたりします。
「2か月治らない」は使えず、「痒みが必須」も果たして本当か?。これも大矢先生と議論していかなければいけないと思っています。
そもそもアトピー性皮膚炎は医師が何とか枠にはめて、そう診断しようとしているだけで、いろんなバラエティーに富む形態をしている病気なのかなと考え始めています。