まもなく先週の全国学会から1週間経つんですね。
時間の経つのが早い、早い。でも疲れは残ってます(汗)。
今回の学会で、失望を感じたと月、火曜と続けざまに書きました。食物アレルギーは予防する時代なのに、専門病院も含めて予防しようという気運が感じられなかったのと、負荷試験のやり方が大雑把で、“少量”を負荷し、症状が出たら「完全除去」という流れができあがっているのを感じたからです。
それなりにこだわって取り組んできた結果、食物アレルギーは皮膚をキレイにするのと、いかに低年齢から食べさせるかというのがポイントだと実感していますが、それを実践しているのは、日本ではまだまだ多くはないようです。
当院では、頻度の高い卵、乳、小麦で「完全除去」と指導している患者さんはほとんどいません。近頃は、他の食品でも負荷試験をし、どれくらい摂れるかを評価し、その範囲内で食べさせるようにしています。多分、有名な専門病院よりは完全除去の患者さんは少ないはずです。
アレルギー疾患対策基本法という法律のもと、国はアレルギー疾患に対応する拠点病院を選定しようと躍起になっているようです。要は各都道府県に「アレルギーならここに任せろ」というような専門病院を1、2カ所作りたいのだそうです。
それはいいことですが、私が失望を感じたような医療をする専門医が拠点病院におさまったとしたらということを危惧しています。
つまり、よりどころになるべき拠点病院を受診して「完全除去」を指導されても、当院を受診したら少しでも食べられるようになるということも起き得ると思うのです。
冒頭にも言ったように、これからは予防が大切です。アトピー性皮膚炎を早期に診断し、治療していけば、食物アレルギーを予防もしくは軽症化できるかもしれません。そのアトピー性皮膚炎の治療が問題です。アレルギー専門医の間の実力の格差が非常に大きいのが現状で、有名な病院で学んだから、実力十分かと言われると、全くそうではないと思います。
食物アレルギーの世界は、いまだに「うちの施設のやり方が一番」なんて感じのことをやっている専門病院もあり、端から見ると「あれれ」と感じることも。多分、今のままでは、最新医療を提供できないような拠点病院も作られる可能性が高いと思うのです。
学会側も、この辺を考えた上で、早期の対応をできる専門医の育成をお願いしたいと思っています。