小児科 すこやかアレルギークリニック

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食物アレルギー、厳しくなると
2018年02月26日 更新

調布の死亡事故から5年の月日が流れました。

園や学校現場における給食対応は、確実にその影響を受けています。多くの方がご存知の通り、例えば卵アレルギーならメニューは二者択一。つまり、卵が入っているか否かの選択になります。

卵料理のみ除去が必要で、練り製品やカステラなどは食べられるという患者さんにとっては、食べられる加工品が一切除去されてしまうので、やや迷惑な話ですが、園や学校には食物アレルギーに詳しい人と詳しくない人がいます。

多くの人が給食を作り、教室まで運び、配膳しますので、ミスは付きものです。卵アレルギーがあっても、卵を一切含まなければアレルギー症状は起こしませんので、最も重症な患者さんに合わせた対応を取るようになったということでしょう。

最近、患者さんから食物アレルギーの診断書を求められることが多いです。親御さんは口々に学校の給食対応が厳しくなったとおっしゃいます。場合によっては、ピーナッツやカシューナッツのコンタミ(微量の混入の可能性)や油の共有について、聞かれたりします。

ピーナッツアレルギーの患者さんは、油の共有が不可となると、弁当持参だと言われたようです。「ピーナッツアレルギーで弁当持参!?」と思いますが、複数の親御さんが口にしますので、上越市の教育委員会がそういう決まりを作ったのだろうと思っています。地元で唯一のアレルギー専門医なのですが、相談があったことは一度もありません。

弁当持参になると言われたピーナッツアレルギーの患者さんは、ピーナッツの値も、ピーナッツアレルギーの存在をより色濃く反映する「Arah2」も高く、さすがの私も負荷試験は行っていませんでした。

でも、弁当持参か否かとなると、微量が摂取可能か負荷試験をやるしかなくなるんでしょうね。周囲は、一切専門的医療をやっている医療機関がありませんし、目の敵にされているせいか、食物アレルギーの紹介はありませんので、逆に軽症の患者さんが「完全除去にしなさい」なんて言われるんだろうなと思っています。

結局、コンタミとか油の共有とか言われると、負荷試験を行うしか、方法はないと思います。先のピーナッツアレルギーの患者さんにも、しなくていいような負荷試験をせざるを得ないということになるのでしょうか?。

園や学校の食物アレルギー対応が厳しくなればなる程、非専門医にかかっていれば、弁当持参になり、専門医にかかっていれば、リスクを負って微量の負荷試験を行い、大丈夫なら弁当持参を避けられるということになるのでしょう。

きっと多くの親御さんが弁当持参を避けたいとお考えでしょうが、医師の連携がないが故に、こんなことも起こり得ます。やはり、医療は当たり、はずれの多い、バクチ的な要素が多くなります。

国は、地域の最後の砦として、「アレルギー拠点病院」を作るとしていますが、こんな患者さん達が押し寄せたら、対応なんてできるはずがありません。

地域に食物アレルギーに理解のある医師を育てる方が、よほど新潟の地に合っていると思っています。