最近、負荷試験が混雑しています。
例年3月は、新年度直前ということで、負荷試験は混み合います。当院では、最も負荷試験が多忙になります。
卵、牛乳が多いのですが、昨日ですとタコの負荷をやりました。しかも、年齢は18歳!。この春、大学進学が決まりました。親元を離れますので、大学受験が終わるのを待って、食べられるもの、食べれないなものを整理しようということになっていました。
当院は、ソバやピーナッツなどあらゆる食材で負荷試験を行っています。それは、「負荷試験をやっています」と言っておきながら、ナッツ類やソバの負荷試験はやっていないということは避けるべきだと思っています。
食物負荷試験をやる医師には、初級から上級まであると思います。卵など原因として多い食材の負荷試験を始めたばかりの医師は「初級」でしょう。卵や乳の負荷試験に慣れてくると、エビやソバなどの負荷試験もならねばと考える頃が「中級」でしょうか?。
あらゆる食材で負荷試験をできるようになると「上級」の域にさしかかると思います。当院の経験ですと、カレーやグミのお菓子でアナフィラキシーを起こした患者さんの原因を精査できるようになれば、間違いなく「上級」で、立派な一人前になると思います。
何が何でも食材を規定量を食べさせ、症状を起こさせてでもシロクロつけるんだという考えを持っている医師は、私は「上級」ではないと思っています。食物負荷試験であっても、食べて症状を起こしてしまうと、患者さんは食べるのに恐怖を感じます。要はトラウマになってしまうのです。症状を軽く抑えて、シロクロをつける医師が「超上級」でしょうか。
日本のアレルギー専門病院には、スキルを学ぼうと若い医師が国内留学しています。いずれは国に戻って、食物アレルギーの専門医として専門的な医療を行うことになります。
そうした医師がどこまで伸びるかが問題だと思っています。地元だと食物アレルギーに理解のある同僚も少ないので、「中級」くらいの負荷試験しかやっていない医師もいるようですし、立派に独り立ちし「上級」レベルの負荷試験を提供している医師もいるでしょう。
私から言わせれば、専門施設で学んだ全員が「上級」できれば「超上級」になって欲しいのですが、そうでもない現実があるようです。
また専門施設で活躍していても、開業してしまう医師もいます。私も開業している身ですし、その人の人生設計にとやかく言うつもりもありません。
「上級」の開業医が増えれば、それは患者さんにとってもメリットが大きいと思っています。ところがです。開業すると、リスクの高い負荷試験と判断すると、あっさり自分のいた専門病院に紹介してしまう医師もいます。それは悪いことではありませんが、「上級」の医師が増えないことになってしまいます。
学会では活躍していたのに、開業した途端、目立たなくなってしまう医師もいます。
何でも責任を持って対応できる「上級」の医師を増やすことが、日本の食物アレルギー診療に大切なことだろうと考えています。