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WBC
2018年03月06日 更新

「WBC」というと何を思いつくでしょうか?。

医師ならほぼ100%「白血球」を思うでしょうね。白血球のことがWBCですので。野球好きなら、昨年春にアメリカ、韓国などと戦い合ったワールドベースボールクラシックの略であるWBCを思いつくでしょう。

ボクシング好きなら、ボクシングの団体であるWBCが頭に浮かぶことでしょう。先週の山中選手とネリ選手との試合もWBCでした。かなり後味の悪い試合で、ご覧になった方、もしくはヤフーニュースなどの記事をご覧になった方は、怒りを覚えることでしょう。

ボクシングは、体重別に細かくクラス分けされ、ほぼ同一の体重で試合をやるのですが、大幅な体重超過をした上に、減量苦もなく、ネリ選手が圧勝したという試合です。バンタム級でしたっけ?、王座は剥奪されましたが、また挑戦できるし、多額のファイトマネーも手にすることができると、ルールを守らないズルいやつが得をするというやりきれない結末になりそうでした。

ルール改正が必要と言われていた中、試合の2日後に、ボクシング団体のWBCからネリ選手の無期限資格停止が発表されました。多くのモヤモヤしていた日本人が、「正義はあった」と思ったはずです。処分の機敏さに、私もホッとしました。

やはり「正義は勝つ」という感じですが、私の仕事である医療には、残念ながら「正義は勝つ」という図式は成立しません。

昨日も、皮膚科2軒に通っても改善しなかった女の子が当院を初診されました。アトピー性皮膚炎が見逃されており、いつも言う効かないような治療が繰り返されていました。

本当に誤診しても、効かない薬を出しても、患者さんは医師を信じるしかなく、通院し続ければ、お金は吸い上げられる仕組みになっています。

医師の仕事は、正しく診断し、病状に見合った薬を処方し、患者さんの苦しみを取り去る努力をすること。そんなことはお構いなしに、同じ薬を出し続け、毎回1、2分の診療で終わってしまいます。短時間で済ませれば、より大勢診察ができるからでしょう。

患者さんに聞くことがありますが、全員が自分が医師なら、患者さんの症状が良くなっていなければ、効かなかった同じ薬は出せないとおっしゃいます。そんな誠意もないようなことを繰り返して、不当に利益を上げるのを許していいのでしょうか?。

WBCという団体は、今回立派な裁定をしました。医師だと医師会が当たるのでしょうか?。医師会はそういう医師が集まった団体ですから、ペナルティーを課すなんて有り得ないでしょう。

以前も書きましたが、「ガイドライン」という各病気のルールを守らなくても、診察した医師の判断を優先させるというのが、医師及び医師会の“暗黙の了解”になっています。

「医療には正義はない」ということを知った上で、医療を受けられた方がいいようです。