今日はドキッとするタイトルにしてみました。
いまの私の最大の関心事ですが、食物アレルギーの発症を予防できればと考えています。
昨年6月に日本小児アレルギー学会から鶏卵アレルギー発症予防に関する提言というものが発表されました。生後4、5ヶ月の赤ちゃんでアトピー性皮膚炎を持っていると、卵アレルギーを発症しやすいのです。この月齢の赤ちゃんを、まずアトピー性皮膚炎と診断し、ステロイド軟膏を使って湿疹の治療を行います。
湿疹から卵が入りますので、その湿疹を封じ込めようという作戦です。ご存知のように生後6か月から少量の卵を1歳まで連日食べさせていくのですが、この時点で卵白の抗体はクラス0の子もいれば、3とか4の子もいたそうです。
普通は「除去しなさい」となりますが、そこが成育医療研究センターのすごいところで、言わば、敵のふところに飛び込む作戦を取ります。ほとんどの赤ちゃんが1歳の時点で、卵アレルギーにならなかったというのです。
私は、この研究の4、5か月の時点ではなく、もう少し早く対応できないかと考えています。既に「経皮感作」を受けて、卵の数値が上がっている訳ですから。
実際、調べてみると生後1、2か月では「経皮感作」はほとんど起きていないものの、生後3か月から30%以上の確率で感作が起きていることが分かりました。少々意地悪な言い方になりますが、3か月の時点では“手遅れ”と言えなくもありません。
産まれて間もない生後1、2か月の赤ちゃんにアトピー性皮膚炎の診断をつけるのは、至難の業か?。確かに「2か月間治らない」という慢性の経過を辿らなければ、アトピー性皮膚炎の診断はできないルールがあります。
しかし、私は至難の業とは考えていません。生後1、2か月でも既にアトピーっぽいのです。昨日も当院でワクチンデビューした2か月の赤ちゃんをアトピー性皮膚炎ではないかと疑いました。
この1、2か月の時点で湿疹の治療を始めたら、どうなると思います?。皆さんが興味のあるところだろうと思います。
答を言ってしまうと、のちに卵の数値が上がってこない人と上がってくる人、両方がいます。発症予防は難しいと思いつつも、予防できるケースはあるのだろうと考えています。
生後3か月や5か月で卵の数値が上がることを“手遅れ”という言い方をしましたが、成育医療研究センターの研究のように生後6、7か月から少量の卵を食べさせていけば、リカバリーできると思っていますし、当院ではそうしています。
可能であれば、湿疹の出始めた生後1、2か月の“手遅れ”になる前の時点で受診していただきたいと思っています。