今年の新潟は雪が多かったです。
車が2台すれ違える道路でも、除雪が行き届いておらず、1台しか通れない道も多くて、大変でした。道路の路肩には巨大な雪の壁があり、「いつ溶けるんだろう」と思っていましたが、最近の陽気で一気に消えました。もう春なんですね。そう感じられるようになりました。
アレルギー疾患対策基本法が施行され、増え続ける「アレルギー」に対し、法律で対応していこうとしています。アレルギーは国民の2人に1人の割合でいるにもかかわらず、アレルギーにまともに向き合っていこうとする医師が極めて少ないのが問題です。
例えば、この時期に鼻水が出て、耳鼻科や小児科にかかったら「花粉症です」と診断され、諸々薬を処方されると思います。目が痒くて眼科に行っても同様でしょう。
スギ花粉症と診断するなら、スギに弱い体質であることを証明しないといけないはずです。にもかかわらず、そんなことはお構いなしです。
スギ花粉症なら、この辺ではゴールデンウィークくらいまで花粉は飛びますので、それまで治療が必要になり、それ以降は対策は不要になります。また、来年のこの時期にも先手を打って対策ができるので、スギが原因であることを立証しないと、患者さんが困るはずです。
要は、世の中の医者は、こんなにもいい加減で、根拠もないことを平気でできてしまうということでしょう。
こんな現状だから、花粉症はもとより、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど他のアレルギー疾患で診断や治療がいい加減になっており、信頼できる医療を提供できる「アレルギー拠点病院」を作るという発想なのだと思います。
ひとつのアプローチとしてはありだとは思っています。しかし、うまくまわらないと感じています。
小児科で心臓や神経の重い病気なら、自宅から離れた専門医のいる病院へ通うでしょうが、アレルギーは我慢する人が多く、医者も軽んじているため、専門医にかからなければいけない病気だとは認識していないことが多いようです。
新潟県も広いですが、北海道や岩手県、福島県も広大です。そこに1つ拠点病院を作ったからといって、患者さんが定期的に通ってくれるでしょうか?。
私は、そんなに患者さんは集中しないだろうと思っていますが、仮に大勢集まったとしても、1人2人の専門医でさばけるはずはないでしょう。
食物アレルギーなら、食物負荷試験をやりましょうということになるはずです。マンパワーの問題で、3ヶ月待ちとか5ヶ月待ちになったら、患者さんのモチベーションも下がってしまいます。
ちなみに、当院は必要な患者さんはすぐに行うようにしており、ほぼ待つことなく、負荷試験をやっています。新年度へ向けてのこの時期がやや混雑しているくらいです。
水面下でアレルギー拠点病院の話が進んでいるようですが、当院へは何の話もありません。開業医は引っ込んでいろということなのでしょう。
ここ最近、食物アレルギーの発症予防について書いてきました。アトピー性皮膚炎が関与しており、アトピーを攻略できれば、食物アレルギーは予防できる可能性を秘めています。
拠点病院には診療のほかに、予防にも取り組んで欲しいですが、成育医療研究センター以外ではほとんど進んでいないとように思います。患者さんの治療でも大変なのに、発症予防という点で、アレルギー予備軍の赤ちゃんまで対応しようとするなら、どれだけの労力が必要だろうかと心配になります。当院のような田舎の開業医が取り組んでいるのに、拠点病院では取り組めないなんてことにもなりかねません。
しかも、新潟県の小児科医を見ても、アトピー性皮膚炎の治療に本当に精通した医師はいないはずです。皮膚科医も当院はいろんなところから逃げてこられるので、ほぼ期待できないでしょう。
アレルギーで困っている患者さんはネットや口コミを駆使して、既に専門医のもとに通っておられるでしょうし、拠点病院のメリットが私にはあまり大きいものだとは感じられません。
私の予想を上回るような規模、内容の拠点病院ができたら、うれしいのですが…。