小児科 すこやかアレルギークリニック

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原因というより
2018年03月26日 更新

ここ最近、“乳児湿疹”について書くことが多くなっています。

乳児湿疹にカッコをを付けたのは、問題があるからです。皮膚科医、小児科医ともに湿疹を甘くみており、アトピー性皮膚炎の診断ができないということを指しているつもりです。

昨日も、関東地方の患者さんから相談メールがきました。赤ちゃんに湿疹があり、医者を転々としても湿疹が改善しないため、ある医療機関で採血をしてみたら、卵や乳が陽性に出ていたというものです。

メールの話の内容から、医師は湿疹の原因を食物に求めているようです。今回の場合は、卵と乳の摂取が湿疹の原因と考えているようです。こう考えた場合、“湿疹を更に悪化させないように”卵と乳を除去するように医師から指示されていました。

それが本当の原因なら、卵や乳を除去すれば、湿疹はみるみる良くなるはずですよね?。そうではなかったようです。

私ならどうするか?。湿疹が長引き、経過も1年以上と長く、アトピー性皮膚炎があるようです。そもそも“乳児湿疹”などと言われていたようですが、「乳児」を意味する0歳はとうに過ぎており、患者さんは1歳になっています。

湿疹を診ていないのですが、アトピー性皮膚炎の存在は明らかだろうと思います。いつもの話になるのですが、“乳児湿疹”と誤診され、甘っちょろい治療しか受けていない訳ですから、それが湿疹のよくならない理由だと考えています。

ちゃんと診断しようともせず、ハッキリしない治療を繰り返し、原因が食べ物だって、調子のいい話もあったものです。いくつも医療機関を代えたようですが、医師達の勉強不足、努力不足が改善しない原因なのだろうと思っています。

以前は、湿疹の「原因」を食べ物に求めることはありましたが、現在では湿疹の「原因」ではなく、湿疹の存在が「経皮感作」を引き起こし、「結果」として卵や乳が陽性になっているのでしょう。

これも少し前に書きましたが、アトピー性皮膚炎のガイドラインには、湿疹の原因、誘因は乳幼児では食べ物が最多であるとされています。本当でしょうか?。

これは「経皮感作」など新しいシステムが明らかになる前から言われていることで、「経皮感作」で食物アレルギーが起こることが判明してきても、学会側がそう書き続けているから、今回のように混乱が全国各地で起こっているのでしょう。

「経皮感作」はもう7年ほど前の茶のしずく石鹸の騒動から知られた事実ですから、何年もの時間が経っても、ガイドラインを修正しようともしない学会側の姿勢にも問題があろうかと思います。

湿疹が長引く原因が、100%食べ物ではないと言い切ることまではできませんが、湿疹の治療を大幅に見直すことが、いまやるべきことなのだろうと思っています。

学会幹部は、だいぶ昔、アトピー性皮膚炎の湿疹の原因が食べ物であると考えており、皮膚科の第一人者達にも合意してもらうのに苦労したなんて言っていました。当時、皮膚科の先生は、食べ物が原因ではないだろうと考えていた訳です。

状況が変わって、「経皮感作」などの新しい考え方が広まってきてもなお、その考え方を変えようとしない学会に、旧態依然としたものを感じています。

今回のケースは、メールで問い合わせがあった訳ですが、この辺は当院はこだわって診療しています。自分で責任を持って治療したいと思うのですが、最初から「遠いから行けない」と書いてあります。複雑な心境です。

この辺の諸々の問題が修正される日がくるのでしょうか?。学会の消極的なところを見ると、まだまだ混乱が続きそうです。