小児科 すこやかアレルギークリニック

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負荷試験の極意
2018年03月28日 更新

食物アレルギー研究会のホームページがリニューアルされました。

というか、“されていました”と言う方が適切でしょう。たまたま見たら、変更されていました。このホームページの最大のポイントは全国の食物負荷試験実施施設を検索できることでしょう。

最新情報となると、当院のホームページの方が優れているかもしれません(笑)。経皮感作のことや、アトピー性皮膚炎の早期発見がカギであることなど、書いています。あまりこういうことを書いているホームページはないだろうと思っています。

また、負荷試験のやり方にも触れています。負荷試験をやることが重要ではなく、やって「完全除去」を指示されるだけなら、大していい負荷試験だとは思いません。

食物アレルギーは、食べた方が治る可能性が高いと考えており、負荷試験の結果から、いかに食べさせていくかを重要です。当院では、いかに食べさせるかにこだわっているつもりです。

また、先日も書きましたが、アナフィラキシーを起こさないことも非常に大切です。

負荷試験により、じんましんが出て全身が痒くなったり、息苦しくなったり、何度も吐いたりして辛い思いをすればするほど、食べることに対して恐怖心が増していきます。

よくあるパターンだろうと思いますが、多い量を食べさせてアナフィラキシーを起こして、「この子は重症だ」という専門医が少なくないでしょうが、こういう負荷試験は避けるべきです。

微量なり少量なりを負荷して、軽い症状が起きれば、十分重症であることが分かりますよね?。例えば、当院は卵ですと、卵クッキーを負荷試験に用いることが多いのですが、これには55mgの卵タンパクが含まれています。それで症状が出るようなら、とても重症で、卵料理は少しでも食べられないことは明らかだろうと思います。

アドレナリン注射の回数も極めて重要でしょう。当院は、14か月に渡ってアドレナリン注射を使用していませんでしたが、この1月にクルミの負荷試験で使用してしまいました。年間0~1件の割合です。

第一人者は「開業医が負荷試験をやるのは危険」と言いますが、多分、大きな専門病院ほどアドレナリン注射の回数は多いはずです。先程言った方に、重症者であっても負荷試験を行い、食べられるものを増やすことは大切ですが、アドレナリン注射をして、更に完全除去を指示するようでは、負荷試験をやった意味がないと考えています。こういった荒っぽい負荷試験は、即減らすべきです。

アドレナリン注射を0件も用いない負荷試験をすることが、真の専門医であり、負荷試験の極意だと思っています。私はそれを目指しています。