調布市の給食の死亡事故からもう5年以上経ちます。
あれ以来、園や学校現場で食物アレルギー対策が進んでいます。当時のエピペンを打つタイミングは、医師でも決まったものがなく、日本の第一人者も「迷ったら打て」なんて言っていた時代です。
当然、一般の方はどういうタイミングで打てばいいのかは、分かるはずもありません。それから5年経ち、だいぶ現場の対応は進んでいるように思います。
先々月、食物アレルギーに関する全国学会がありました。食物アレルギーの診療に関しては、全体的に伸び悩み感は否めないと思いますが、園•学校への啓発に関しては進化しているようです。
最近は、医師ではなく、小児アレルギーエデュケーター(PAE)が活躍するようになってきました。看護師が多いと思いますが、アレルギー医療に精通した人が、医療機関内で患者指導を行う以外に、外に飛び出して、園や学校で誤食時の対応などを説明するようになってきたのです。
エピペンは、小児科医の全員が処方できるのではなく、食物アレルギーに関心のある医師しか処方していない現実があります。世の中には、エピペンを処方したことが一回もない小児科医が大勢いる訳です。
その一方で、食物アレルギーに力を入れている専門医が中心にエピペンを処方しており、何十、何百と処方しています。本来、主治医として、処方した子どもの通う園や小学校に出向き、病状のほかに、誤食時の対応についてエピペンの使い方も含めて、指導するのが筋だと思っています。
ただ、先程述べたように、エピペンを処方する医師が二極化しており、園や学校を回るのは実現不可能なため、小児アレルギーエデュケーターも協力して、誤食時の対応の啓発を行っていくようになっていくのでしょう。
まだPAEの多くいる都会が中心ですが、この動きは全国に広がっていくものと思います。アレルギーに力を入れる医療関係者が力を合わせ、園•学校現場に出向き、職員全員が適切にエピペンを打てるようにすることは、とてもいい動きだと思っています。
当院も最近PAEの資格を取った看護師が1人いますが、当院はどうしているか?。当院は、7年前からエピペンを処方している重症な患者さんの通う園や学校に出向いて、エピペン指導を行っていました。
それ以来、エピペンを処方する度に保護者を通して園や学校に「説明に行きますよ」と言い続けています。多分、これまでに園や学校に行って直接指導した件数は、日本トップレベルだと思います。
誤食によりエピペンの使用もわずかながらありますが、全例適切に対応していただいております。全国の動きに先駆け、活動してきたことは少々嬉しく思っていますが、“私の仕事”と思ってやってきたこと。
もっとこの動きが全国展開していくことを熱望しています。