小児科 すこやかアレルギークリニック

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“コンタミ除去”との戦い
2018年04月06日 更新

4月から食物アレルギーの学校対応が厳しくなったようです。

ピーナッツは、少し前にも書きましたが、アレルギー採血で「ピーナッツ」という項目のほかに「Arah2」という、より詳しくみる項目があります。

それが陽性であれば、食べられないことが多いのです。陰性なら、負荷試験をやっても食べられることがほとんどで、疑陽性(±)の患者さんに負荷試験をしたら、軽く症状が出たという経験があります。私の中では、かなり信頼性が高いのです。

あるピーナッツアレルギーの患者さんが当院を受診されました。ピーナッツの「Arah2」も高く、負荷試験をするまでもないと除去を指示していました。

当然の対応だと思うのですが、学校側から「ピーナッツのコンタミが不可だと、弁当持参になる」と言われたのだそうです。カシューナッツで除去している患者さんも、同様のことを言われ、困り果てて当院を受診されています。

特にカシューナッツなんて年間1、2回しか給食に出ないと思われ、それで弁当持参になるなんて、親御さんもそうでしょうが、私も納得できません。地元の教育委員会の過剰対応をおかしいと思っていました。

けれど、関東のC県の方からも同様な質問をメールでいただき、全国的な流れなのだと理解しています。

その「Arah2」も高く、負荷試験をするまでもないくらいの患者さんに対し、ピーナッツ0.1gの負荷試験を行うことにしました。コンタミとは、0.1gも含まれないと考えており、それで強い症状が出なければ、コンタミは「可」とできると考えています。昨日触れたカシューナッツアレルギーの患者さんも、同様の意味合いで負荷試験をやっています。

世の中の流れが、「コンタミ不可」=「弁当持参」となっているのであれば、親御さんのためにも阻止したいと考えています。

私は、多くの医師が二の足を踏むであろうナッツ類の負荷試験も普通に行っているため、少量食べられるかどうの負荷試験は苦ではありません。それによるメリットが大きければ、これからも率先して負荷試験に取り組んでいきたいと考えています。

ここで、見落とされているのが、患者さんの心情です。ピーナッツやカシューナッツで、場合によっては過去に強い症状を起こし、口にすることを極端に避けてきたのに、負荷試験を受けなければいけないのは、ものすごい恐怖心ではないでしょうか?。

けれど、学校側がそう強く言っている以上、今のところは微量の負荷試験をするしか、思いつきません。

多分、医者からすれば、ここまではせずに「コンタミ不可」と書くだけで済むので、全国各地であまり給食に出ないナッツ類のために、毎日弁当持参という患者さんが続出しているのではないでしょうか?。

専門でもない医者にかかっている患者が弁当持参になり、真面目な専門医にかかっていると、負荷試験の上で弁当持参にならない。何か変な話です。

そういう安易な流れは、何とか阻止したいと考えています。これからも微量のナッツ類の負荷試験をやらざるを得ないのでしょうか?。

患者さんの心情に配慮しつつ、“コンタミ除去”と戦っていかなければならないと思っています。