小児科 すこやかアレルギークリニック

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ピーナッツとArah2
2018年04月11日 更新

昨日、ピーナッツを用いた負荷試験を行いました。

年齢は3歳でした。しかも、ピーナッツは激しい症状を起こす怖い食品と捉えている人は多いだろうと思います。血液検査の結果は、何とクラス5でした。

「すこやかアレルギーもとうとう頭が狂ったか」と思われては困ります(笑)。患者さんはクラスという0から6までの数値だけを気にされますが、抗体価といわれる実際の数値が以前の検査で90台だったのが、同じクラス5のままですが50台に下がっていました。

同じクラス5でも、抗体価がそこまで下がっていると、流れはこちらにあります。食物アレルギーは食べさせてみて、食べられるかどうか判断するものですが、少し前までは私もピーナッツがクラス5の患者さんには負荷試験は行わなかったと思います。

では、なぜ負荷試験に踏み切ったのか?。他の検査の値や、未摂取であること、あと年齢でしょうか。一番のポイントはArah2の数値です。

この場でも触れたことがありますが、Arah2はピーナッツアレルギーをより詳しくみる検査項目です。ピーナッツの数値が高くても、Arah2の値が低ければ、食べられる可能性があるのです。

この患者さん、Arah2は(±)という結果でした。ピーナッツのクラス5という値を見た時は失望したのですが、Arah2を見て「いけるかもしれない」と思ったのです。

過去にピーナッツを食べて症状が出ているようなら、ピーナッツアレルギーは確定なのですが、未摂取なので確定ではないのです。

前も食物アレルギーは「鉄は熱いうちに打て」ということわざになぞらえたと思います。明らかな根拠がある訳ではないのですが、こういう患者さんにピーナッツ除去と指導し、それを続けると本物のピーナッツアレルギーに傾く恐れがあると感じています。

3歳という年齢で気づいたので、(本物のピーナッツアレルギーになる前に)食べられるのなら食べさせてあげたいと思ったのです。

以前、Arah2が(±)の患者さん(ピーナッツはクラス3でした)に負荷試験を行ったら、軽い症状が出たことがあります。Arah2が(-)の場合はほぼ症状が出ないので、(±)だと軽微な症状出るのかと思ったことがあります。

今回は、何の問題もなくピーナッツ10粒を完食しました!!。

似たようなデータの患者さんが全員同じ結果となるとは限りませんが、「ピーナッツの数値が高いから除去しなさい」と指示されている患者さんは、世の中にはとても多いと思います。更に食物アレルギーに詳しくない医者は、「アーモンドもクルミもナッツは全てやめた方がいい」と言うことが多いです。

全然そんなことはないですからね。ナッツ類を一括りに除去というのは、不勉強な医者の悪いクセです。

ピーナッツアレルギーと言われ、除去している患者さんは、是非ともArah2を検査してもらいたいと思っています。いたずらに除去をせず、分かった医師から負荷試験をやってもらうべきでしょう。