5月になりました。
もう1年の3分の1が終わったと思うと、焦りますね。今年何かやり遂げたってものがほとんどないですから(汗)。
先日、新潟市から通院されている3歳の患者さんに対し、牛乳で負荷試験を行いました。仕上げというか、牛乳200mlを摂れるかどうか確認のための試験でした。
県外の方もお読みになっていると思いますので、追加しますと、新潟市から当院のある上越市まで120キロほどの距離があります。要は、新潟県は大きいですが、上の方から下の方まで移動しなければ、受診できないのです。
東京や大阪などの方なら、優に県外に飛び出すくらいの距離です。そんな遠くにいくなんて有り得ないとお思いの方もいることでしょう。
この患者さん、受診は2年前にさかのぼります。確か、アレルギー検査が陽性で食べられないものが多いということで受診されたのだと思います。こういう患者さんは、アトピー性皮膚炎も合併していて、「経皮感作」で食物アレルギーを発症しますし、ぜんそくやアレルギー性鼻炎も合併しやすいのです。
通常なら、小児科、皮膚科、耳鼻科に通う必要があるのかもしれませんが、当院はどれも対応できるよう努力しています。
さらに食物アレルギーというと、未だに「完全除去」が当たり前だと思っている方も多いですが、私は「完全除去」を続けていると、卵や牛乳と仲良くなるチャンスを失うため、かえって悪化するのではないかと考えています。
食べられる範囲内で食べていくことを「食事療法」と言いますが、当院は「食物負荷試験」だけでなく、「食事療法」にも力を入れています。
120キロの距離を通院することが有り得ないと思う方も、より専門的に、深く、広くアレルギーを診療できるのなら、通院は「あり」だろうと思うし、何より「絶対に治してやる」という気持ちは持ち続けています。
いつも言う通り、医者は責任も持たず、テキトーにやって何度も通ってもらった方が儲かるのです。ハッキリ言って、患者さんを食いものにしている小児科医、皮膚科医、耳鼻科医はとても多いのは間違いない事実です。
私としては、地元の患者さんであれ、新潟市などから受診してくださる患者さんであれ、自分の知識をフルに活かして、全力で治療に取り組んでいるつもりです。120キロの距離を帳消しにするのが、私の役目だと思っています。
食物アレルギーの治療は、今では0歳から始めるのがよいと考えていますが、この患者さんは1歳の時に初診されています。牛乳アレルギーについては、初診後まもなく負荷試験をし、5ml程度で症状が出ることを確認しています。
そこからが腕の見せどころ。先程述べた「食事療法」です。家でも摂れる範囲内で食べ続けていただき、更に負荷試験も実施し、ここ最近は家でも50ml摂っていただいていました。
当然と言えば当然ででしょうが、先日牛乳200mlの負荷試験を行い、200ml飲めることを確認しています。2年ほど掛けましたが、牛乳はクリアできそうです。
まだまだ終わりではありませんが、少しは120キロの距離を帳消しにできたでしょうか?(笑)。