昨日は、大変でした。
200数十人の患者さんを診察することになり、疲労困憊でした。普段他院にかかっていて、改善がない時だけ当院を受診される人や、総合病院にかかっていて当院に鞍替えされた方なども受診されたため、大変混み合いました。
午前も午後も受付時間というものがあるのですが、お構いなしで受診されたのか、いつまでも診療が終わりませんでした。午後の診療は13時半からと決まっているため、午前中の診療をそれ以前に早く終わらせれば終わらせるほど、休み時間が長く取れることになります。
昨日は午前の診療が終わったのが、13時半ころだったので、昼ご飯をかき込んで、午後の診察へ。どんなに混んでも心掛けているのは、どうしたら症状を改善させられるかということ。当院では、症状が改善していないのに、同じ薬は処方しないようにしています。
いつも言っているように、症状が改善していないのに平気で同じ薬を出し続けられる医者は、“もう終わっている”ものだと考えていただいて構わないでしょう。
多分、その辺の同業者よりは忙しくさせていただいているのだろうと思います。そして、今年は全国規模の学会で、食物アレルギーを予防するにはどうしたらいいかという当院独自の研究の発表もありますし、水曜午後は毎週のように園や学校に出向いて講演活動もやっています。
更に、全国各地から時々メールをいただきますが、その解決について相談に乗っています。先日も、某県在住の方からメールをいただきました。その県は食物アレルギーが盛んでない県なので、嫌な予感がしていました。
ガイドライン通りと言ったらそうなのですが、卵の負荷試験は1/32から食べさせ、増量中にアナフィラキシーを起こしたそうです。現在では、その県の大御所的な先生に診てもらっているそうです。
ヒスタミン遊離試験の結果をもとに、除去継続を指示されたようです。アレルギー採血やこのヒスタミン遊離試験だけで食べられるか食べられないの判断はできないから、負荷試験をやらなければならないのですが、「少しでも食べさせてあげたい」という気迫が感じられません。
お子さんが食べたがないというのもあるそうですが、アナフィラキシーを起こせば、自分の身を守るために食べなくなるのは当然ですし、アナフィラキシーを起こさずに負荷試験を行う方法をご存知ないようです。
最近つくづく思うのですが、当院の心掛けてきた加工品を用いた負荷試験は、例えば卵クッキーなら小麦と抱き合わせで焼いてあるため、かなりアレルギー症状を起こしにくくなっています。
少しでも“美味しく食べてもらう”には有効な手段だと実感しています。にもかかわらず、学会は加工品を使うなと言っています。曖昧な部分があるということなのでしょうが、症状を起こすのと、美味しく食べるのとどっちが大事なんだと思ってしまいます。
この辺は、負荷試験を始めたばかりの医師は、ガイドラインに固執するため、融通が利かないように感じています。それなりに長く食物アレルギーの世界に属していると、かえって症状を起こしにくい加工品を用いて、食べ慣れさせる重要性を感じています。
アナフィラキシーを起こさせるのは言語道断なので、負荷試験中はよく患者さんを観察し、できればアナフィラキシーの一歩手前で試験を終了することが大事だと思っています。
あと、これも重要ですが、なるべく低年齢から食べさせるということ。大きくなってからだと、体に染み付いた苦手意識はなかなか取れません。
ネットで検索すると、開業医も含めて「食物負荷試験をやっています」とホームページで大々的に謳っている小児科はかなり増えているようです。私が思うに、「負荷試験をやっています」という言葉の重みを理解しているのかしらと思ってしまいます。
「いかに食べさせ、治していくか」を真剣に考えていると、道は開けていくのでしょうが、取って付けたような負荷試験をやっている医師に「負荷試験をやっています」とは安易に言って欲しくないなというのが私の本音です。