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私の考える最新治療
2018年05月09日 更新

医者の世界は、患者さんからみれば神秘のベールに包まれているってところはあると思います。

それを垣間みるのは、テレビでしょうか。でも、テレビドラマだと視聴率のための演出もあるでしょうし、ドキュメンタリーものだと、例外的な医師を扱うことが多いのでは?。

アレルギーに関してですが、近隣のあらゆる小児科、皮膚科などから患者さんが逃げてこられますが、お金ももらえないような低レベルな“医療”を受けてきているようです。

患者さんからすれば、病気になれば医者にすがるしかない。お医者さんの言うことは絶対と信じるしかなく、それにあぐらをかいて、医師はベストを尽くしていない。これがある意味、「日本の医療」なのでしょう。

特にアレルギーは、一生懸命やっているだけあって、いろいろ考えるところがあります。若い頃は、私にとってガイドラインは絶対的な存在でしたが、最近は粗が目立ちます。“最新”じゃないのです。

何度か言っていますが、私はアレルギー症状を起こさずに、食べ慣れさせていくというやり方を17年前から実践してきました。卵なら卵クッキー、カステラ、卵焼きという順番でです。要は最初からゴールを目指さず、3段階に分けて少しずつステップアップしていたのです。2年前に、ガイドラインにようやくこの考えが採用されました。

また、食べさせるものは加工品ではいけないという風潮があります。卵クッキーやカステラは小麦と抱き合わせで焼いてあります。これが卵によるアレルギー症状を誘発しにくくするとされます。つまり、同じ量の卵成分を単独で食べるのと、加工品で食べるのでは、症状の起き方に差があります。

例えば、卵焼きの中から卵成分100mgを取り出して食べさせるのと、卵成分100mgを含んだ卵クッキー1枚を食べるのはどちらが美味しく、簡単でしょうか?。言うまでもありませんね。学会は、この現実的な手法を根拠がないと切り捨てている訳です。

臨床で大事なことは、現実に見合った対応をすることだろうと思っています。卵そのものに恐怖心を抱いている患者さんは大勢います。目先を変えて、美味しく食べさせる努力はとても重要だろうと考えています。

いま、私の考える最新の対応は、アトピー性皮膚炎の湿疹から経皮感作を受けやすいので、いかにアトピー性皮膚炎を早く見つけ、治療に漕ぎ着けるかがポイントですし、3歳よりも2歳、2歳よりも1歳、1歳よりも0歳から食べさせていくことでしょう。要は物心がつく前に食べさせて、治していくことでしょう。

「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、食物アレルギーはまさにこの通りです。除去し続けていいことは何もないと思っています。食べさせるものは加工品でも十分でしょう。

アレルギー採血で卵が陽性の場合、自宅で食べさせるのはリスクがあります。当然のことですが、医師が責任を持って負荷試験をやるべきでしょう。そうやって、「ここまでは食べられますよ」と指定した上で、その範囲内で自宅で食べていき、慣れさせていく。

経験のある、信頼できる医師と二人三脚で早期から行っていくのが、ベストの対応であり、最新治療だと考えています。