アレルギー治療には、盲点がかなりあると思っています。
10年前は、アレルギー専門医と言えば、ぜんそく治療の長けているという意味合いだったと思います。それ以前は、学会はぜんそくに関する発表が多かったのです。
食物アレルギーは注目され始め、負荷試験も知られるようになり、必要性も向上してきました。見事に鞍替えした専門医もいたのですが、食物アレルギーになじめないままの専門医も少なくなかったようです。
いずれにしても、学会では食物アレルギーに関する発表が増え、ぜんそくのそれをはるかに上回っています。学会幹部も食物アレルギーをやってきた先生方が勢いづいているようです。
そして降ってわいてきたかのように、アトピー性皮膚炎の治療の重要性が増してきました。食物負荷試験はやっているが、「アトピー性皮膚炎の治療はちょっと」というドクターは少なくないのではないでしょうか?。
専門医を含め、多くの小児科医がアトピー性皮膚炎の治療に力を入れてこなかったため、ぜんそくや食物アレルギーの対応はできても、アトピー性皮膚炎の対応に苦慮している専門医は多いようです。
私自身も11年前の開業当初は、こんな展開になるとは思っていなかったのですが、アトピー性皮膚炎の患者さんは受診されていましたので、どうしたらよいか考え、対応してきました。
当院での治療のビフォーアフターを示します。7年ほど前の患者さんです。左が初診時、右が5日後の画像です(添付画像)。
アレルギー専門医と名乗るならば、これくらいできないとダメでしょう。入院を勧められることもあるでしょうが、当院では外来で治療しています。
「経皮感作」は湿疹の程度が重く、湿疹の面積が広いと起こりやすいようです。湿疹をいかに速やかにやっつけるかが重要です。
こういう湿疹の患者さんは、アレルギー採血を行うと卵やミルクが陽性になることが多いのですが、興味あることに、湿疹の治療を行うと、卵やミルクの数値が低下することがよく見受けられます。
ただ、私の経験上、若ければ若いほどそうなりやすいようです。つまり、1、2歳よりは0歳で皮膚治療をしっかりやると、卵などの値が下がりやすく、タイミングを外すと下がりにくいようなのです。
私のいま感じていることは、いかにアトピー性皮膚炎の診断と治療ができるかが重要かということです。つまり、皮膚の状態を速やかに改善させ、その状態を維持できるかが大切ということです。
ところが、アトピー性皮膚炎の治療に力を入れていますが、アトピー性皮膚炎は、非常に難治のことが多く、治療の手を緩めるとすぐに悪化することも多いです。
時代は「アトピー性皮膚炎を制する者がアレルギーを制す」という感じになってきています。世の中は、アレルギー専門医といっても、有名病院にいる医師であっても、アトピー性皮膚炎の治療が上手でない者が非常に多いのが現状です。
治療面の問題は、ここではないでしょうか?。
