この場でも何度か紹介していますが、私のアレルギーに関心を持った理由です。
私もまだ若かったですが、当時はぜんそく治療が今ほど整備されておらず、秋などには一晩にぜんそく発作を起こしたお子さんが3人入院してくるような状況でした。
「日本のトップレベルの病院ではどんな治療をしているんだろう?」、そう思ったのがきっかけでした。
タイミングも良かったのだろうと思います。ぜんそく治療は医者によって異なっていましたが、私の恩師が中心になってぜんそく治療に関するガイドラインを完成させました。新潟ではガイドラインに沿った治療がほとんど普及しておらず、新潟の地に広めたいと思っていました。
世の中の小児科医の多くはアレルギーに関心が低いですが、彼らでさえもぜんそくは軽症はオノンやシングレアなどの抗アレルギー薬、重症ならフルタイドといった吸入ステロイドを使うことは知るに至りました。
やはり、関心のない医者にもガイドラインが広まるということは効果絶大で、最近ではぜんそく発作を起こして入院するお子さんはほんど見かけないし、ガイドラインの普及に寄与してきた専門病院が、ぜんそく発作で入院する患者さんが激減したため、経営面で不利になっているくらいです。
ちょうどその頃、食物アレルギーが問題になり始め、5年前の調布市での誤食死亡事故もあり、食物アレルギーに力を入れる小児科医が増えてきました。
日帰りなり、一泊なりで入院した上で負荷試験を行えば、病院の売り上げもアップします。ぜんそく患者が減った穴埋めにもなる訳です。新潟県内ではあまりそうは感じませんが、多くの地域で負荷試験をやる病院が増えていきました。
これがガイドラインの普及によるものかは、どうなんでしょう?。ぜんそくは開業医でさえもオノンやシングレア、フルタイドなどを処方していますが、食物アレルギーの負荷試験は小児科医のほとんどが逃げて避けています。総合病院だけ普及している、ということなのでしょうか?。でも、新潟はそうではないですね。
結局、食物アレルギーのガイドラインは、ぜんそくのそれほどは普及しておらず、中途半端に利用されているのだろうと思っています。関心のある医師だけ利用し、関心なのない医者は無視を決め込んでいる。そんな感じでしょう。
幹部も開業医を甘やかしています。「開業の先生方はお忙しいでしょうから、負荷試験はやる必要はありません。必要ならば専門病院に紹介してください」なんて言っています。専門病院は紹介してもらった方が、患者もお金も権力も集まるというホンネもあるのでしょうね。
この差って何なのでしょう?。ぜんそくは、多くの医師が発作を起こすとかわいそうと考えているからでしょう。食物アレルギーも食べたいものが食べられず、誤食によって命を落とす可能性もありますが、「治そう」と取り組んでいる医師はあまり見かけません。
ぜんそくは薬を処方し、通院してもらえば医院の利益も上がりますが、食物アレルギーは薬はほとんど用いず、指導には専門的知識も必要で、負荷試験はリスクを背負います。ぜんそくに比べて、効率が相当悪いですよね。
結局は、そういうことなんでしょうかね?。