小児科 すこやかアレルギークリニック

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産まれてからスキンケア
2018年06月15日 更新

先日、ある患者さんからメールで相談がありました。

普段、この場でいろいろ書いているので、北は北海道、南は九州から相談のメールをいただくことがあります。

上のお子さんが、卵や乳が高く、除去または制限しているようです。ということは、詳細な情報はないのですが、アトピー性皮膚炎がかなり悪かったのだろうと予想します。

当院はアトピー性皮膚炎の早期発見・早期治療を心掛けており、複数のアレルゲンが陽性で、しかも数値が高いケースは、アトピー性皮膚炎の治療がイマイチで、当院の受診が遅れた患者さんが多いと感じています。

妊娠中のお子さんがアレルギーにならないようにするにはどうしたらよいか、ご心配されているとのこと。

かかりつけ医からは、妊娠や授乳中に制限しても意味はなく、「産まれてからスキンケア」を頑張りなさいと言われたようです。

以前は、母の妊娠中や授乳中に卵や乳を制限、除去することでアレルギーを減らす研究が繰り返されましたが、今では効果はないだろうと結論づけられています。

「産まれてからスキンケア」ということですが、多分、成育医療研究センターの生後1週間から8か月まで保湿剤を塗り続けたら、アトピー性皮膚炎の発症を3割減らすことができたというデータに基づいていると思われます。

ですので、主治医のアドバイスは正論だろうと思っています。ただ、気がかりな点があると言えばあります。

アトピー性皮膚炎の発症は防げたけれど、卵や乳の経皮感作は減らすことができなかったということです。つまり、食物アレルギーに傾きやすいということでしょう。

「産まれてからスキンケア」を頑張っていただきたいのですが、と同時にアトピー性皮膚炎を見つける努力が必要だと思うのです。

もしからしたら、アレルギー専門医であっても、「産まれたらスキンケア」という指導をする医師は多いものと思われます。アトピー性皮膚炎に傾いてきているのに、スキンケアを頑張っても、食物アレルギーは進行してしまうと思われます。

現在、学会の対応の遅れで、アトピー性皮膚炎の早期診断がしにくい状態になっていると思っています。それに対し、私は私なりに考えて、対応しています。食物アレルギーは防げるという手応えをつかんでいます。それも広く知っていただきたいがために、今年は9回も学会発表を行う予定になっています。

「産まれたらスキンケア」だけでなく、「アトピー性皮膚炎を早期に見つけ、治療に結びつける」ことが重要だと考えています。

この記事を、質問のお母さんも読んでいるかもしれません。上のお子さんが卵と乳が高く、卵は卵黄のみ、乳は除去されているそうです。それなりの知識を持った主治医がそう指導されているのでしょうが、当院なら卵も乳ももう少し食べさせているはずです。

何故なら、「鉄は熱いうちに打て」ということわざは、食物アレルギーにも当てはまり、なるべく若いうちに食べさせ、慣れさせることが重要だからです。

食物アレルギーの治療も、発症予防も一歩前に進まなければいけないのだろうと思っています。