週末は幕張メッセで日本アレルギー学会がありました。
私も参加して、発表してきました。何度か触れていますが、多くの皮膚科医、小児科医がアトピー性皮膚炎を適確に診断できる能力がなく、“乳児湿疹”などと言っています。湿疹を甘くみて、甘い治療しか行っていないことになります。
ぜんそくを“風邪”と誤診する小児科医も圧倒的に多いですが、それだと咳が止まらないというデメリットだけで済みますが、アトピー性皮膚炎を見逃すと食物アレルギーが悪化します。
当院を湿疹で受診された患者さんを集計しましたが、3か月や4か月で初診した患者さんはほとんどがアトピー性皮膚炎の診断基準を満たしており、30%以上が卵アレルギーに傾いていました。
ちなみに5、6か月になると60%以上に急増します。つまり、“乳児湿疹”などと言ってアトピー性皮膚炎を見逃すような医者には通ってはいけないと言っていいくらいでしょう。
“湿疹”を診たら、食物アレルギーを見逃さない努力をする医師に増えて欲しいと願い、学会で発表しまくっていますが、関心のある真面目な医師しか学会に参加していませんので、例えば地元の小児科医、皮膚科医に浸透させるのは不可能に近いんでしょうね。
成育医療研究センターの大矢先生が食物アレルギー発症予防について講演されていました。一番広い会場がほぼ埋まっており、「さすがだな~」と思って聞いていました。
それ以外は、食物アレルギーについてはあまり収穫なかったですね。重症な患者さんに微量から食べさせ慣れさせていく方法は、当院では何年も前から実践していましたが、アレルギー専門病院や大学病院がようやくというか、そういう発表をしていました。
負荷試験の結果を受け、加工品を食べさせることも既にやっていますが、大病院がそういう発表をされていました。「何でもっと早くそうしない?」って思ってしまいました。
超重症な食物アレルギーは、相変わらず完全除去にしている専門病院も多いようです。経口免疫療法の話も聞いてきましたが、当院では食事指導で対応しているくらいです。食物アレルギーの分野は停滞しているように感じています。
今回得られた知識を使い、当院の診療に幅を持たせられるよう、今日から頑張っていきたいと思っています。