先週末、日本アレルギー学会に参加してきました。
この学会は小児科医のみならず、内科医、耳鼻科医、皮膚科医、眼科医、研究者などの集うアレルギーの総合的な学会です。
ただ、食物アレルギーが注目されているせいか、最近は小児科医が幅を利かせているなと感じています。私も学会はよく参加しているため、よく見かける顔が揃います。真面目で勉強熱心なドクターが集まる訳です。
例えば、新潟県の小児科医って顔を知っている人も多いですが、ほとんど顔を合わせません。数少ないアレルギー専門医の先生以外は、ほとんど参加がないのです。幹線道路を走ると、「小児科・アレルギー科」の看板を見かけますが、そういう先生の参加はほぼ皆無です。
結局、「お医者さんは偉いし、何でも知っている」ことになっているので、「アレルギー科」の看板は出そうと思えば、誰でも掲げることができます。
医師は、日々努力をして新しい情報を吸収していかなければいけないはずなのに、「アレルギー科の看板はみんな出しているから、オレも出しちゃおう」くらいのノリで掲げている薄っぺらものなのです。
こういう実態も是非とも知っておいていただきたいと思っています。
よく「理論」と「実践」と言われます。スポーツでもそうでしょうし、医学でも当てはまると思います。
学会は、「理論」を教えてくれる場だと捉えています。ただ、医療には「実践」がないと医療行為を行うことができません。
例えば、ぜんそくで重い患者は吸入ステロイドを使うという「理論」を学んだとします。実際に患者さんを治療するには、どの吸入ステロイドを、どれくらい吸入させるのかという「実践」が必要です。
同様に、アトピー性皮膚炎にはステロイド軟膏を使います。多くの小児科医、皮膚科医がステロイド軟膏を処方することは処方するので、一応「理論」は分かっているのでしょうが、どれくらいの強さのステロイド軟膏をどれくらいの量を何日塗り続けるというのは、人それぞれです。
下手な医師は「できるだけ薄く塗りなさい」、「よくなったらすぐに止めるように」なんて言っています。アトピー性皮膚炎の治療は、生ぬるい治療では歯が立ちませんので、多くの医師が「理論」は知っていても、「実践」が伴っていないのだろうと思っています。
日本の第一人者は「理論」と「実践」がハイレベルでかみ合っているのでしょうが、そうでない医師は、「理論」はあるが、「実践」が伴わないとか、関心がなく不勉強で「理論」も「実践」も持ち合わせていないというパターンが多いのでしょう。
食物負荷試験もそうですよね。負荷試験の必要性は理解しており、「理論」は少しは知っているが、「実践」するにはリスクがあり、責任を負いたくないから「負荷試験はうちではできない」とか言っています。
「理論」はもとより「実践」にこだわった医療ができるよう、今後も学会で学んでいきたいと思っています。