小児科 すこやかアレルギークリニック

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ガイドラインよりも慎重に
2018年06月29日 更新

世の中には、アレルギー採血の抗体価のみで完全除去を指示されている患者さんは多いと思います。

新潟県は、医師同士の連携があまりありません。循環器や神経などだと専門医に紹介したりすることはありますが、アレルギーについては、紹介しようという発想すらないようです。

その点、当院では特に卵、乳、小麦はクラス6だろうが、何か食べさせようとしています。過去にアナフィラキシー歴があろうが、その信念は揺るぎません。

この春、新規で受診した患者さんがいました。検査結果はミルクがクラス6でした。これだと、専門医であっても完全除去と言ってしまいそうだと思います。非専門医なんて、言わずもがなでしょう。実際、紹介ではなく、周囲の勧めもあって当院を受診されたようです。

確かに、ミルク6は、卵白6とは少々異なるようです。卵白6ですと、もう当院では10数人、卵を解除して食べさせています。ミルク6の患者さんは、かろうじて100ml摂取できたお子さんが1人いるのみです。

ある日本の第一人者の話では、負荷試験をかなりやられている先生ですが、ミルク6で負荷試験で陰性だった患者さんのご経験はないそうです。ミルクは、卵よりも抗体価が負荷試験結果を反映しているということなのでしょう。

だからと言って、負荷試験をしないという選択にはつながらないと思います。なぜなら、無理矢理に牛乳を100mlなり200ml摂らせる訳ではないからです。強行すれば、強いアレルギー症状を起こしてしまうでしょう。

有名病院でも負荷試験をして、アナフィラキシーを起こすことはあるようですが、これは是が非でも避けるべきことです。結局、負荷試験でアナフィラキシーを起こしたとすると、やり方が間違っていたということです。慎重さが足りなかったとでも言えますでしょうか?。

強い症状を起こせば、特に患者さんがその食材を摂ることにネガティブな気持ちになり、口にしてくれなくなります。これでは治療になりません。

未だに学会幹部は、「閾値」にこだわっています。「閾値」とは負荷試験によって分かる、これ以上摂ると症状が出ますよというボーダーラインのことです。

「閾値」を明らかにする必要があると言いますが、「閾値」が分かると言うことは、症状を起こしてしまうという意味です。それがアナフィラキシーであれば、意味がないと思っています。

昨日、ミルクがクラス6のお子さんに負荷試験を行いました。絶対にアナフィラキシーを避けたかったですが、何か食べさせるきっかけをつかみたいと思っていました。

この患者さんは、5歳で、これまで乳は一度も摂ったことがありません。患者さんにとっては未知との遭遇でした。私は、負荷食材に乳を少量含むお菓子を選択しました。

お菓子を何分の1から負荷しました。「おいしい」と言ってくれました。量を増やしていく中で、蕁麻疹がポツポツと出始めました。そこで直ちに負荷試験を終了し、抗ヒスタミン薬を飲ませました。

結果的にも症状は軽く済み、アナフィラキシーは起こさせませんでした。患者さんも、乳を食べることに恐怖心は抱かなかったと感じています。

ちなみに、最初に食べさせた量は、牛乳換算で0.1mlくらいを想定しています。ガイドラインに沿ってやっていれば、もっと多く量を摂取させることになり、アナフィラキシーを起こしていたものと思われます。

学会幹部は、開業医に負荷試験をさせたくないようですが、仮に専門病院で負荷試験をガイドライン通りにしていても、強い症状は避けられなかったのではないかと考えています。

ガイドラインよりも慎重に事を進めているつもりです。