昨日、エビの負荷試験をやりました。
エビは、大人に多いアレルゲンとされ、お子さんを持つ親御さんの間でもピーナッツやソバに並んで「アレルギーが怖い」と感じる食べ物のひとつだと思っています。
エビ、カニ、イカ、タコ、貝類など魚介類として一括で除去されている患者さんもいるくらいです。医師がそう指導したり、親御さんが怖がって、「つい食べさせていない」ってことも多そうです。
何の根拠もなく除去していることもあれば、アレルギー採血を行って数値が出ているから、食べさせていないケースもあります。
エビは、検査が陽性だからと言って食べられないとは限らず、検査が陰性でも症状が出ることがあると言われています。
いろんな意味で、負荷試験をやらなければ、「真実」は分からないのに、負荷試験も行われていないことが多いと感じています。当院では、逃げることなくエビの負荷試験は行ってきました。
アレルギー採血が0でも「怖くて食べさせられない」という親御さんに対し、負荷試験をしたこともありますし、検査が1や2くらいの陽性で、シロクロを付けるために負荷試験をやっていました。
今回の患者さんもクラス2と陽性でした。この春、某市から転居されてきて、負荷試験のことが前主治医から“隠蔽”されており、「負荷試験をやりましょう」という私の提案を受けての実施でした。
この患者さん、以前エビを食べてじんましんが出たことがあるそうで、症状が出る可能性はありました。エビを5尾持ってきていただき、少量から食べさせていきます。
少しずつ増量していきますが、まるまる1尾食べたところで、軽く症状が出ました。様子を見たらじきに引いたので、再度1尾食べてもらいましたが、やはり軽く症状が出るようです。
負荷試験としては、結果は陽性ということになります。この結果を受けて、専門医の対応が割れるのではないかと思っています。「エビは完全除去ね」という医師と、「少し食べていきましょう」という医師です。
経口免疫療法などの食材は、卵、牛乳、小麦が多いだろうし、実際に食物アレルギーの診療ガイドラインを見ても、卵、乳、小麦、ピーナッツの記載で、他の食材の報告は非常に少ないと書かれています。
そういうこともあり、専門医であっても、除去を指示することが多いのだろうと思っています。果たして、その判断が正しいのか?。
今回の患者さんはエビを5尾持ってきていただいて、2尾以上食べているので、それ程重症だと思っていません。完全除去を指示するのも「どうかな」と思っています。
ということで、私は完全除去の指導はしませんでした。時々食べてもらおうと思っています。そして、半年から1年後に再挑戦しようと思っています。
エビが相手だろうと「何とか治って欲しい」と思っていますので、そういう判断をさせていただきました。