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アトピー性皮膚炎の現状
2018年07月18日 更新

日本小児皮膚科学会は、これまで何度も参加していました。

今回は、アトピー性皮膚炎に関する話が多かったように思います。それは私にとっても歓迎です。

いつも食物アレルギーについて書いていることが多いですが、食物アレルギーはアトピー性皮膚炎から起こることが分かってきました。ぜんそくの患者さんも、アトピー性皮膚炎からなりやすいことが分かってきました。

そう、アトピー性皮膚炎が他のアレルギー疾患の起点になると考えられてきているのです。これからは「アトピー性皮膚炎を制する者は、アレルギーを制す」と言えるのかもしれません。

そういうことが分かってきているものの、アトピー性皮膚炎を早く見つけて、治療に結びつけようとする医師があまりいないことに不安を感じています。多くが、アトピー性皮膚炎の診断基準を満たしてから、治療すればいいと考えているように感じます。

生後6か月くらいならまだいい方で、中には2歳、3歳にならないとアトピー性皮膚炎と診断できないなんて言っている“強者”までいるくらいです。

こういう皮膚科医は時々いますが、明らかに間違っています。アトピー性皮膚炎の診断基準は、「湿疹の存在」と「痒み」、「2か月以上の経過」の3つを満たすこととされます。早いと生後1か月から始まることが多いので、生後1か月の2か月後ですから、生後3か月の時点で、アトピー性皮膚炎の診断は付いてしまう訳です。

世の中の多くの皮膚科医、小児科医が、ルール通りに診断していません。「ルール」じゃなくて、かなり「ルーズ」です。

他院で“湿疹”の治療をされていて、良くならずに当院に逃げてこられた患者さんの多くが、アトピー性皮膚炎とは診断されていません。割合にして、明らかに90%以上です。

アトピー性皮膚炎の湿疹から「経皮感作」が起こり、食物アレルギーになるなんて言われていますが、アトピー性皮膚炎と診断できる皮膚科医、小児科医がほとんどいないので、経皮感作は防げるはずもないのです。

これが日本の現状です。