小児科 すこやかアレルギークリニック

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水イボは取るもの
2018年07月21日 更新

昨日、アトピー性皮膚炎の現状について書きました。

一般の方の中に、「ステロイド軟膏は怖い」というイメージが未だにあるようです。本人はそうでもないのに、周囲の人が「怖い薬だから、使わない方がいい」と吹き込むこともあるでしょう。

昨日もいました。アトピー性皮膚炎があり、卵アレルギーになり、当院にかかっていました。負荷試験を進めて卵は食べられるようになったのですが、アトピー性皮膚炎は残り、地元の皮膚科に通っているそうです。

過少治療をされているようです。皮膚科から「痒いだろうから」とセルテクトという抗アレルギー薬を処方されているとのこと。皮膚治療をしっかり行えば、皮膚の痒みは減るはずと思われます。

説明をし始めたのですが、やれ父親がステロイド軟膏は怖いと言っていると、私の話に耳を傾けようとはしません。患者さんは言わば素人なので、仕方ないとは思っていますが、医師のステロイド軟膏に対する嫌悪感というか、無理解もひどいものがあります。

それはまたの機会に書くとして、先週末の学会でちょっと話題になったことがあります。水イボの対処です。

昨年の「すこやか健康フェア」の講師をお務めいただいた神奈川県立こども医療センターの馬場直子先生は、小児皮膚科の第一人者です。その先生は、水イボは麻酔のテープを使い、痛くなくして取る方法を推奨されています。

ところが、多くの小児科医、皮膚科医は「取らない」と言っています。根拠は、放置すれば治るのだそうです。

一般的には、治る力よりも広がる力の方が大きいので、放置するとどんどん広がります。水イボウィルスは、他人にもうつりますが、本人にもうつります。気づいた時には、取るのも躊躇うくらいの数になっていたなんてこともあります。

何か月も、場合によっては数年かけて消失するという印象です。“放置すれば治る”というのは最終的にはウソではないのかもしれませんが、その前に“結構広がる”というフレーズを多くの小児科医、皮膚科医が省略しています。その理由は、取るのが面倒くさいのでしょう。

医師は、何をやっても許されます。面倒くさいから「取らない」と言っても、患者さんは引き下がるしかなく、「そういうものか」と思うしかないのです。

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎も診療にウソの多い分野ですが、水イボもほとんどの医師がウソをついていると考えています。

一昨日も目の際に水イボが10個くらいある患者さんが、取って欲しいと当院を初診されています。添付した画像は、その患者さんのものではありませんが、目の回りに10個くらい水イボは見えますよね。これも当院では、取っています。

だって、もっと広がったら、「あの時、取っておけば良かった」と後悔するじゃないですか。かと言って、水イボが300個広がった時点で受診した患者さんは、見捨てる訳にもいかず、取りましたよ。

患者さんは、常に適切な医療を受けている訳ではないんですよね。その“事実”を知る権利もあると思っています。