時々、全国各地の患者さんからメールをいただきます。
状況をお聞きし、最寄りのアレルギー専門医を受診できるようにしたりしています。新潟県内の患者さんですと、受診していただいた方がいいかなと思っています。
その場合、よく言われるのが、アレルギー採血の数値が高いのに負荷試験をやっていることです。卵白がクラス6であっても負荷試験を行い、食べられる量を見極めて、食べさせています。それが驚きのようです。
抗体価が高かろうが、アナフィラキシーを起こした過去があろうが、0mgも食べられないなんてことはないでしょう。どんなに少ない量でも食べさせていくのがポイントだろうと考えています。
昨年、8月新潟市から1歳過ぎの赤ちゃんが受診されました。卵でアレルギー症状を起こし、卵白とオボムコイドがクラス5でした。「園に上がるまでに少しでも卵が食べられるようになれれば」との願望をお持ちでした。
地元の小児科医からは、完全除去を指示されていました。非専門医で知識がないのに、専門医に紹介すらしない。大きな街では患者の争奪戦が繰り広げられており、紹介すらしない傾向にありますね。医者は自分の都合を患者さんに押し付ける“生き物”ですから…。
卵白が88、オボムコイドが73だったかな。結構高いですよね。でも何も食べられないなんてことはないはずです。2回目の受診の時だったかな。当院得意の卵クッキーで負荷試験を行っており、完食しています。
その後、カステラ、卵焼きと進んでいくのですが、この春に卵焼きに挑戦したのですが、途中で食べなくなってしまいました。これは単に飽きたのか、それ以上食べると身の危険を感じるのか、判断に困ります。ここは一旦撤収し、機会を改めてとお話ししていました。
実は、昨日が卵焼きでのリベンジの日でした。やはり途中でまったく口にしなくなってしまいましたが、ちょっと外に出て気分転換していただいたのち、無事に1個分を完食しています。卵アレルギーは克服できたようです。当院にかかり始めて、11か月目のことです。
こういう記事は、全国でお読みの読者の方に勇気を与えるものだと思っています。「じゃあ、うちの子も専門医にかかってみるか」と背中を押せたらと思っています。新潟県内の患者さんならば、自分の力で何とかしたいと思っています。
こういう記事を読んでも「へ~」とか「そうなんだ~」で終わっている人も多いのかもしれません。当院の「ホームページを見て受診しました」って患者さんは、そんなに多くないですから。
食物アレルギーは、少しずつ食べて克服していくものであって、アレルギー採血の結果を最重視して、指をくわえて見ているだけという病気ではないと考えています。
もちろん、完全除去を続けていて、知らないうちに治ってしまうということもあるでしょう。しかし、除去を続けているうちに卵なら卵を“食わず嫌い”になってしまう可能性があり、リスキーです。今回の患者さんのように、1歳過ぎの時点で受診される(0歳であっても)のがベストでしょう。
私は、全国各地の「迷える子羊」的な患者さんの道しるべになりたいと思っています。当院のホームページにも辿り着けない人もいらっしゃる訳で…。
どうしたらよいのでしょう?。