今週末も学会発表があり、28日(土)は休診となります。
休んでばかりで申し訳ありませんが、日本を良くするためです。
昨年6月に、小児アレルギー学会から「鶏卵アレルギー発症予防の関する提言」が出されました。
生後4、5か月のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんを集めるところからこの研究が始まりました。これらの患者さんの皮膚治療をしっかりと行ってから、生後6か月から少量の卵を継続的に与えると、1歳の時点で卵アレルギーを8割予防できたというものです。
この提言が出てから、1年経ちますが、他の医療機関から似たような研究発表は行われていないようです。成育医療研究センターが主導で「パッチスタディー」という名前の研究が動いているくらいです。
ちなみに、どういう研究かと言いますと、生後7~13週の痒みのある湿疹のある赤ちゃんに治療を行うことで、食物アレルギーを減らせるかどうかというものです。興味深い研究で、結果が待たれます。
それ以外では、学会に行っても、食物負荷試験の結果とか、エピペンの啓発活動とか、それも大事なことですが、食物アレルギーの発症自体を予防するという気運はあまり高まっていないように感じています。
成育医療研究センターの鶏卵アレルギー発症予防の研究は、大事なことが強調されていないように思います。湿疹を持つ赤ちゃんがどれだけの確率で、卵アレルギーになるかということです。
そんなに多くないのなら、予防する意味が薄まってしまいます。大矢先生に直接伺ったのですが、重症なアトピー性皮膚炎の患者さんだと、ほぼ100%なのだそうです。ちなみに、当院のデータは70%です。軽症なアトピー性皮膚炎の患者さんも含みますが、それで70%とは驚くべき数字だと思いませんか?。
もっと医師達の間に食物アレルギーを防ぐという気運が高まらないといけないと思うのですが、多くの小児科医、皮膚科医が“乳児湿疹”などと言い、生ぬるい治療を繰り返し、経皮感作を進行させ、食物アレルギーを作っている状況を何とか変えたいと思っています。
それで今年は学会発表を9回行おうとしている訳です。食物アレルギー発症予防という点においてですが、医師の意識を変え、日本を変えたいというつもりなのです。この週末でようやく6つ目かな。全然手応えはありませーん(汗)。
ひとつ気がかりな点があります。パッチスタディーでは、アトピー性皮膚炎を早期に見つけるために「痒み」を重視しています。確かにアトピー性皮膚炎の診断基準にも痒みは必要です。
当院のデータでは、乳児期早期ですとアトピー性皮膚炎になるのに痒みが指摘できないケースはかなり多いのです。今回の学会では、その辺も含めて、発表してこようと思っています。
何らかの手応えが得られればいいのですが。