昨日、ある大学のアレルギーグループのナンバー2の先生の診療について書きました。
親御さんは、「卵の完全除去は辛い。何か少しでも食べさせられれば。」とおっしゃっていました。食物アレルギーが重症だと、親御さんはだいたい同じことをおっしゃいます。
卵白の数値がクラス6だろうが、全く何も食べさせられないなんてことはありません。当院では、10数人のお子さんに対し、卵焼きを食べられることを確認しています。ということは、クラス5や4、3などの患者さんにも卵を食べさせてきたということです。
ですから、数字だけをみて「負荷試験はできない」なんて決めつける医師は、実力はともかく、医師としての良心さえも疑ってしまいます。
日本の第一人者がもし開業したら、これまでのように負荷試験をバンバンやると思いますか?。多分それはないと思います。病院であり、スタッフも多いから、攻めた負荷試験をできるのであろうと思います。
難しいケースは、まず病院に紹介すると思います。実際に開業した第一人者はそうしていますし。多分、当院の方が件数、内容ともに多くのケースに対応していると思います。
また、先週の学会でも、専門医を含め、ほとんどの医師が食物アレルギーの発症予防に関心がないことが分かりました。大勢診ていると、「予防する方法があれば、そうしたい」と考えるものじゃないかと思うのですが、そうでもないようです。
かなり早期に経皮感作は起きてしまうので、それ以前に手を打たなければ、予防はできなさそうです。いや、逆にそのタイミングで手を打つことができれば、何とかなるかもしれないと考えています。
私のような田舎の開業医でも、患者さんのことを考え、何とかしたいと考えて診療していると、これくらいのことはできるということです。
さて、昨日触れた医師と、私とで学会での立場はどちらが上だと思いますか?。
それはもう圧倒的に昨日の医師です。大学での立場もあるし、論文も沢山書いているでしょうから。
食物アレルギーの患者さんに少しでも食べさせる努力をしていなかったり、その他「おやっ」と思うことをしていても、学界トップは論文を書いているかどうかで、医師を判断してしまうのです。臨床の実力は、二の次、三の次なんですね。
学会というのは、こんなところです。