8月13日(月)から15日(水)までは夏期休暇をいただきたいと思っています。ご了承ください。
さて、昨日の記事を読んで、「TARC」を調べたくなった人もいるのではないでしょうか?(笑)。
かかりつけ医に言っても、断られることも多いと思いますよ。低年齢の赤ちゃんですと、皮膚科の場合は、看護師が採血が下手なので、採血ができなことがほとんどでしょう。
調べるべき場合であっても、「赤ちゃんがかわいそうだ」とか取って付けたようなことを言って、調べないことがほとんどです。
小児科の場合はどうでしょう?。採血はし慣れているので、たとえ乳児であっても、看護師は名人芸で採血は可能だと思います。
しかし、皮膚に関心のある小児科医は非常に少ないのが現状です。よく言っていますが、ぜんそくがあるのに“風邪”と誤診し続けるのも小児科医が多いです。風邪と決めつけたら、修正が利かないことが多いようです。ですので、「“乳児湿疹”なんだから、TARCなんて調べる必要がない」と言われてしまいそうです。
「経皮感作」から食物アレルギーが起こるということは、医師であれば多少なりとも知っているとは思うのですが、それより先にいけません。
昨年6月に小児アレルギー学会が、鶏卵アレルギー発症予防の提言を発表しましたが、あれをちゃんと理解している小児科医は、非常に少ないと思われます。
もう一度振り返りますと、生後4、5か月のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに、ステロイド軟膏をビシッと塗って治療した上で、生後6か月から1歳まで少量の卵を食べさせ続けるというものです。
患者さんからすれば、小児科医はプロなんだから、学会の提言通りのことができるはずと期待していますよね?。残念ながら、アトピー性皮膚炎の診断が4、5か月ではできない医者がほとんどですし、皮膚症状に見合ったステロイド軟膏を選択もできないことが多いですし、ましてやステロイド軟膏の塗り方、使用の期間など理解していない小児科医がほとんどなので、湿疹を落ち着かせることすらできないと思います。
多くの小児科医がそんなレベルなのです。その上、肝腎のポイントを押さえもせずに、知ったかぶりをして「6か月になったら、少しずつ食べさせなさい」と言う医者もいるようです。
採血させてもらい、TARCが高値なら「乳児湿疹だと思っていたけど、アトピー性皮膚炎かもしれない」と考えてもらいたいのですが、ここにまたハードルがあります。
これは決定的なのですが、学会が示すTARCの基準値は、生後6か月以上の赤ちゃんでないと存在しないのです。中には、生後5か月以前にはTARCを調べてはいけないと勘違いする医者もいそうです。これについては、私の方から学会に生後5か月以前のTARCの基準値を早急に作ってくださいとお願いしています。
せっかく成育医療研究センターが、鶏卵アレルギー発症予防に関する研究を行い、世界をリードするような内容の論文を完成させたので、それを活用すれば、卵アレルギーを予防できるはずなのです。当院では、実践していることですから!。
しかし、専門医、非専門医ともに多くの医師が、その先に進む素地ができていないために、多くの患者さんが、その恩恵に預かれていないのです。
この現実、どう思われますか?。私は学会側にも、普通の小児科医にも責任はあると思いますよ。