小児科 すこやかアレルギークリニック

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「ゾーン」
2018年08月16日 更新

本日より、通常通りの診療になります。

でもというか、19日は学会発表がありますので、準備を始めたところです(汗)。

現在、当院では食物アレルギーの早期対応について、研究しています。食物アレルギーは、いつも書いていることですが、多くの患者さんや多くの医師さえもが思っているよりも、早期に始まっています。

多くの患者さんや医師が食物アレルギーを考えもしていない時点で、始まっています。油断も隙もあったものじゃないと捉えていただきたいのですが、現状では“隙だらけ”なので、気がついたら食物アレルギーが始まっていたりします。

論より証拠。“湿疹”のため、生後2か月で当院を初診された赤ちゃんのデータをお示しします(添付画像)。

昨年8月の生後2か月の時点で、受診されています。この時、アトピー性皮膚炎の勢いを表す「TARC」が110000を超えています。アトピー性皮膚炎の状態が悪いため、皮膚から食べ物が入り込みやすく、既に卵白がクラス2、ミルクがクラス1と陽性化しています。

卵やミルクが0からクラス2や1になっているのは、卵アレルギー、ミルクアレルギーであると診断できる訳ではありませんが、卵アレルギー、ミルクアレルギーに傾いているのは、事実でしょう。どうです?、生後2か月で始まってしまっている訳です。

しかも、この月齢でTARCを調べる医師はほとんどいないでしょうが、ビックリするくらい高い値をとっています。ちなみに、学会もこの月齢を想定していないため、生後6か月以降で基準値が1367だとされています。

生後2か月の時点で、卵やミルクが陽性化する患者さんはほとんどおらず、TARCもかなり高いため、アトピー性皮膚炎と考えて、親御さんに時間をかけて説明した上で、治療を始めさせていただきました。

その1か月後にTARCがどこまで下がったのか、再検査をさせていただきました。その結果が1248という値です。アトピー性皮膚炎の悪い勢いを、かなり止められたと言えるのだろうと考えています。

さらに卵とミルクの値も見ていただきたいのですが、卵白もミルクも0になっています。卵アレルギーやミルクアレルギーに傾いていた“流れ”を阻止できたのだろうと考えています。

赤ちゃんの“湿疹”で小児科や皮膚科にかかると、「乳児湿疹ですから、大したことないです」なんて言われ、全国各地で過少診断・過小治療が繰り広げられています。この患者さんも、ちゃんと分かった医師にかからなければ、卵アレルギー、ミルクアレルギーに一直線だっただろうと考えています。

食物アレルギーのことを本気で考え、阻止したいと考えている医師のみが体験できる「ゾーン」とでも言えましょうか?。

私は、この時点で止めるべきだと考えています。