昨日から診療を再開し、負荷試験も再開となっています。
山口で行方不明の2歳児が無事に発見され、多くの人が安堵したと思いますが、負荷試験で食べられることが分かり、それと同じくらいの安堵がそれぞれの患者さん家族にもたらされました。
昨日も言ったように、食物アレルギーはいかに早期に対応するかが問題です。できるだけ早く食べさせていかなければなりません。未だに田舎のお父つぁん医者は、3歳まで除去とか勝手なことを言っていますが、そんなに待ってはいけません。2歳よりも1歳、1歳よりも0歳です。
こんな場合はどうでしょうか?(添付画像)。
生後8か月の時点で当院を初診されています。みると卵白4、ミルク3、小麦2、大豆3といずれも陽性化しています。
重症なアトピー性皮膚炎があり、湿疹の面積が広い上に、適切な治療が行われずに、湿疹の状態が悪い期間が長いと、このようにいろいろな食べ物が「経皮感作」を受けてしまうようです。
ですので、湿疹が出始めた、もっと早い時期に当院を受診してくだされば、こうはならなかったであろうと考えています。この4種類の食べ物がアレルギーかどうかは、数値だけでは分かりませんが、卵はオボムコイドがクラス3、小麦はω-5グリアジンがクラス2というところからすると、卵アレルギー、小麦アレルギーである可能性が高いと思われます。
私は、この患者さんにどうしたか?。アトピー性皮膚炎の治療をガツンと行い、皮膚を安定させた上で、4つの食品に対し、食物負荷試験を行いました。
順番は忘れましたが、うどんと豆腐で負荷試験を行い、規定量を食べられることは確認しています。卵も卵黄から負荷試験をし、少量なら症状が起きないことも確認しています。
皮膚の治療も同時並行に行っており、来院3か月後の11か月の時点で小麦はクラス0と陰性化、卵もミルク、大豆も抗体価が軒並み低下しているのが見てとれます。
卵もミルクも大幅に低下しているため、「今がチャンス!」とばかりに、卵も乳の負荷試験も進めていきます。かといって、濃いものを負荷すれば、しっぺ返しをくらう可能性もあり、急ぎつつも、慎重に負荷試験を行うべきでしょう。
乳は発赤が出つつも、50ml程度摂れることが分かりました。卵は当院得意の卵クッキーから負荷していきます。現時点で1歳半を過ぎていますが、乳は牛乳を200ml摂れており、卵はカステラ1切れを食べています。小麦、大豆は問題なく食べています。
近いうちに、卵は卵焼きで負荷試験を行う予定で、4つの食品はどれも除去不要になる予定です。
ご覧のように、アトピー性皮膚炎の状態が悪いと、受診のタイミングが少し遅いと、苦労することが分かります。できれば、生後8か月の時点よりももっと早いタイミングで受診があれば、これほど苦労しなかったものと思われます。
多分、普通の小児科にかかっていれば、いずれの食品も除去を指示され、卵や乳などはもっと重症化して、食べられなくなったのではないでしょうか?。生後8か月の時点で、当院に来てくださったのは良かったと思いますが、もう少し早く受診してくださればくださるほど、良かったのだろうと思っています。
多くの“湿疹”を持つ乳児が、当院のやっているような医療を受けられるようにするのが、私の目標です。田舎の開業医がやっているんですから、都会の専門病院はもちろん、多くの医師にもできるはずですよね?。
