小児科 すこやかアレルギークリニック

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こんなにしつこい
2018年08月28日 更新

アレルギーという病気は、ホントにしつこいと思います。

夏風邪なら、1、2日で解熱し、元通りになってしまいます。胃腸炎も、何度か吐いてグッタリすることもありますが、やはり数日で元気になります。

いま、地元ではRSウィルス感染症が流行っていますが、さすがに1、2日という訳にはいきませんが、1週間もせずにかなり回復することが多いようです。

例えば、ぜんそく。咳が数週間続いているにもかかわらず、かかりつけ医が「風邪ですね」と言っていることが結構あります。ぜんそくは“風邪”ではないので、“風邪薬”は効きません。

多分、咳が長引いて何度もかかりつけに通った経験のある方は、ぜんそくが隠れている可能性があります。医者は、「絶対に治してやる」とは思っていないので、同じ薬を出し続けています。

相手が慢性の、治りづらい病気だからです。「なぜ、自分の処方が効かないのだろか?」と考えるべきですが、かかりつけ医は薄情ですよね?。風邪と決めつけて、処方を代えようともしません。

これはアトピー性皮膚炎も同様です。“乳児湿疹”なんて言われることが多いですが、実際はアトピー性皮膚炎のため、キンダベートなどの小手先の治療では、良くなることはありません。

これには語弊があるかもしれません。塗れば一時的に良くなるのかもしれませんが、やめるとすぐに悪化します。このやり方では、安定した皮膚状態を保つことは難しいのです。

食物アレルギーも、また同じ。除去を続けていても、誤食すればじんましんや咳などアレルギー症状を繰り返してしまいます。小児科医がよく扱う風邪や胃腸炎なら、1、2日で回復してしまうのとは、対照的ですよね?。

多分、日本でほとんど試みられていないのですが、当院はアトピー性皮膚炎を早期に見出すためにはどうしたらよいかという大きな課題に取り組んでいます。

経験上、湿疹が心配で生後1、2か月で受診された赤ちゃんを診察してみて、「これはアトピー性皮膚炎だろうな」と感じることがあります。このタイミングなら、卵の「経皮感作」は進んでおらず、治療を開始し、皮膚をキレイにすれば、皮膚から卵を入らなくすることができるのではないかと考えています。

先日こんな経験をしました。生後2、3か月くらいだったと思うのですが、アトピー性皮膚炎と思われる赤ちゃんに採血を実施させていただきました。この時点で以前お話しした「TARC」は十分に高く、アトピーと診断しました。卵白はクラス0であり、皮膚の治療をして、卵白0の状態を維持したいと目論んでいました。

皮膚の状態を高値安定させたいと考えていましたが、まあまあの状態でした。卵白は0のままでしたので、離乳食で卵を少しずつ摂るように指導していました。

固ゆで卵黄は食べていました。ある日、卵の加熱が甘かったのかもしれないのですが、卵を食べて、まもなくじんましんが出たそうです。

卵白は、クラス2に上がっていました。卵白はクラス0のままで維持したかったのですが、「経皮感作」を許してしまったようです。卵アレルギーをできれば予防したかったのですが、予防できませんでした。

でもこれで卵をずっと除去しなければいけないかと言えば、そうではありません。この状況でも卵アレルギーを治すことは十分可能です。

それにしても、「経皮感作」を起こすチカラはこんなにもしつこいんだということを思い知らされた格好です。

だからこそ、その大きな壁を倒し甲斐があると考えているところです。