食物アレルギーの診療に、食物負荷試験は不可欠とされます。
これは、多くの方がご存知ですよね?。アレルギー採血を行い、例えば卵白の抗体が陽性であれば、卵を食べると症状が出る可能性がある。
でも、出ない可能性もあり、だから実際に食べさせる食物負荷試験を行い、食べられる人なのかどうかをシロクロをつける検査であると。
私は、これまで検査が高くても食べられる人と食べられない人がいると考えていました。でも、最近は捉え方が変わってきました。“食べさせ方”の問題じゃないかと。
ミルクがクラス6の患者さんに牛乳を飲ませると、ほぼ100%症状が出てしまいます。当院では、卵白6の患者さんに卵焼きを食べさせて、ほとんどのケースで症状なく食べさせています。これって不思議じゃないですか?。
卵は、当院得意の卵クッキー→カステラ→卵焼きの順に負荷しています。徐々に量を増やして、食べ慣れてもらっているのです。卵白がクラス6であっても、卵を食べて症状が出なければ、卵アレルギーはなかったということになります。卵を食べて、症状が出るのが卵アレルギーだからです。
当院の負荷試験の特徴は、「絶対にアナフィラキシーは起こしたくない」というのがコンセプトです。専門病院であっても、こうすべきだと思うのですが、多くの専門医が「アナフィラキシーは起こしても仕方ない」と考えているフシがあります。
患者さんはアナフィラキシーを起こして辛いし、怖いし、傷つきます。これは親御さんも同様です。そうやって食べられなくなっていきます。医師が検査としてであっても、アナフィラキシーを起こすことで、食べることに恐怖心を植えつけることは反対です。
アナフィラキシーは、負荷量が多いから起こすのであって、少量を食べさせて、軽い症状を起こしたところで中止するのが、理想に近い負荷試験だと思っています。
卵白がクラス6の患者さんに負荷試験をやった場合、いきなり卵焼きから負荷すると、多分症状の出る人が増えるのだろうと思っています。
当院では卵クッキー、カステラ、卵焼きと数ヶ月毎に増やしていっているが故に、起きるはずの症状を出にくくしているのだろうと考えています。
食物アレルギーというか、アレルギー採血が陽性の患者さんの場合、食べさせ方を間違えば、アナフィラキシーでさえも起こるし、上手く食べさせていけば、何も起きず、食物アレルギーがあったことさえ分からないということなんだろうと考えています。


