先日、関東のある患者さんからメールをいただきました。
赤ちゃんに、離乳食として卵黄をほんのわずか食べさせたら、じんましんが出たとおっしゃるのです。検査は卵白やオボムコイドが陽性で、卵アレルギーの存在を裏付けるものでした。
政令指定都市にお住まいで、その地域で有名なアレルギー専門医にかかっていたそうです。今回の件で、主治医から卵アレルギーについてシロクロつけたいから、負荷試験をやろうと言われ、戸惑って当院に相談のメールがあったという形です。
しかも、ママ友に相談したら、当院にメールしてみればと言われたそうで、当院もちょっとだけ有名!?(笑)。
親御さんの心配は、卵黄をちょっと食べさせただけで、じんましんが出たんだから、炒り卵を使った負荷試験は強いアレルギー症状が出てしまうのではないか?というものでした。
当然ですよね。私も0歳から食べさせていくべきと主張してはいますが、この状況で、炒り卵を使った負荷試験は危険だと思います。こういうように、医者は医者でシロクロを付けたいと考えたがりますが、症状を起こさせて「クロ」と言いたいのでしょうか?。やはり、摂取歴から無理のない食べ方を考えて、慎重に進めていくべきでしょう。
卵はだいたい「経皮感作」を受けると考えていますので、アトピー性皮膚炎があると推測しました。かかっている皮膚科では、乾燥肌と言われており、口の周りにも“よだれかぶれ”があるそうです。
ああ、やっぱり分かっていない皮膚科にかかっているのですね(笑)。よだれをたらしまくりでも皮膚のキレイな赤ちゃんっていますよね?。ベースにアトピー性皮膚炎があるから、よだれの刺激を受けて、“湿疹”がよくならないだけだと考えています。
この患者さん、どこにかかったらよいでしょうか?。
今の小児科だと心許ないけれど、負荷試験をやろうと言ってくれているだけ、まもとな小児科なのでしょう。でも、これからは小児科医がアトピー性皮膚炎も含め、トータルで診ていく時代です。今回の卵アレルギーのエピソードから、逆にアトピー性皮膚炎の存在を疑わないといけないのに、そういう指摘はなかったそうです。
負荷試験も、いかに症状を起こさずに、確実に食べさせていくかと考えてくれる小児科医でないといけないでしょうね。何が何でも炒り卵でシロクロを付けようとする医師は、まだ経験不足かな…。
関東でも、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを早期からトータルで診れる医師はそんなに多くないんでしょうね。私のような田舎の開業医でもやっていることなので、多くの開業医もいずれはできなければいけないことでしょう。
ただし、湿疹をみれば“乳児湿疹”と言ったり、卵で症状が出たようなら「卵は除去」とか、もしくは今回のように、どうにでも卵で負荷試験をやるとか、そういう医師の考え方を変えていくには、膨大なエネルギーと時間を要するのだろうと思っています。