昨日、負荷試験の質について書きました。
負荷試験をやらなければ、食物アレルギーの診療ができないため、やることに意味があるのです。
ただ、乱暴な負荷試験ならやらない方がいいくらいだと思っています。負荷試験を行えば、アナフィラキシーを起こすリスクがあります。症状を起こすことで、限界が分かるので、症状を起こさせないことは有り得ない訳です。
ただ、「アナフィラキシーを起こせば、アドレナリンを注射すればいいんでしょ」と考えている医師も少なからずいるようです。極意は、少量で負荷試験を行い、できるだけ軽い症状を起こさせ、すみやかに終了するということだろうと思っています。
昨日、6歳児に負荷試験を行いました。ミルクがクラス5で、未摂取の状況でした。非専門医なら、「負荷試験どころじゃない」というでしょうし、専門医なら、アナフィラキシー覚悟で、負荷試験を行うんでしょうね。
私は、「じゃがりこ」を用いました。このように初回摂取から何が起きるか分からない時は、とても慎重に行う必要があります。しかも、6歳。ここで辛い思いをさせてしまえば、「もう乳なんて摂りたくない」となってしまいます。
私は、摂取量と食材にこだわります。摂取量は0.1ml以下からスタートしました。あと、食べさせる食材です。加工品の方が、症状をマイルドにする可能性が高く、そうしています。
それでもヒヤヒヤしながら、1本の1/4から負荷しました。のどのイガイガ感を訴えましたが、食べられました。1/4、1/4、1/2、1本、1本と食べました。多少ののどのイガイガ感を訴えるものの、強い症状を起こすことなく、検査を終えることができました。
今回の摂取できた量から、安全に食べられるであろう量を推定し、食べてもらおうと考えています。
当院では、そこまでリスクがないと考えれば、牛乳自体で負荷試験を行っています。今回のように、負荷試験のラストチャンスかもしれないと思うと、手堅い方法をとっています。ラストチャンスとは、今回激しい症状を起こせば、乳の摂取が困難になるであろうという意味です。
美味しかったようですし、家でも継続摂取できそうです。昨日も言ったように、重症でも、とにかく牛乳で負荷試験を行うし、初回量は0.5mlとか、1mlに決まっていますという専門病院もあります。医者も複数いて、型にはめたがるのでしょうが、無理矢理型にはめて、しわ寄せがくるのは重症者ですよね?。
案の定、アナフィラキシーを起こし、「もう乳は摂りたくない」と言えば、病院に責任があるのは明らかでしょう。残念ながら、頭の固い専門医っていますよね~。
専門病院も、負荷試験をやることから、次のステップに進むべきだろうと思っています。


